
Vol.
2014.6.2
皆さん、こんにちは!
SUPER GT 2014第3戦オートポリスにて、やっと・・・やっと、23号車が勝つことができました!!とにかくこの勝てない2年半はつらかった・・・。そして長かった。
今シーズンも第1戦、第2戦とも勝てるポテンシャルを持ちながらも、不運や自分たちのミスにより、そのチャンスを逃してきました。そして「勝利」という二文字が果てしなく高い壁の向こうにあるような気持ちになっていました。
今回は筋書き通りの「勝利」に見えたかもしれませんが、「勝利」から遠ざかってしまっている私たちからすると、一つ一つ課題をクリアしていくような必死な思いで、チェッカーを受けるまでは決して安心できない、緊張感の途切れることのない週末でした。
今シーズンのマシンは昨年までのマシンよりも、格段にスピードが上がりました。そのため第3戦オートポリスと第4戦菅生では、安全性を考慮しダウンフォースを減らすという措置が取られ、4月にオートポリスでテストをした空力仕様とは異なるロードラッグ仕様でレースをすることになりました。そのため、どのチームも土曜日の練習走行までどうなるか見えない部分があり、その2時間でどこまでマシンのセッティングを決めることができるか、いつも以上にチーム力も試されるレースとなりました。
練習走行ではトップタイムを出すことができ、またロングスティントでもタイヤがいい働きをキープしてくれることが見えてきたので、予選そして決勝では同じミシュランタイヤを装着する46号車との戦いになることが分かりました。
Q1では次生くんがドライブをし、2ラップアタックをしました。それでも柳田くんがドライブする46号車にはかなわず、負けていたセクター3における対策をQ1とQ2の短い時間の中で行いました。その結果、RONNIEは完璧なアタックをしてくれ、見事ポールポジションをゲットしてくれました!!
RONNIEは予選の後、「短い時間でマシンを調整してくれた次生とエンジニアとメカニックのおかげで安心してアタックをすることができたし、自分自身も今一番体力的にも精神的にも調子が良い。それにNISMOが絶対に満足しないという姿勢で、立ち止まらずにここまで開発を進めてくれてきたことに感謝している」と話してくれました。
そして「また明日この記者会見の場所に戻って来たいね」と私が言うと、「大丈夫!!」と普段は慎重派のRONNIEが自信に満ち溢れた顔をしながら言うので、今回は何かが違うと感じました。こう話しているときのRONNIEはかっこよかったです!
そして決勝日。みんなで勝ち獲った「ポールポジション」からのスタートです。RONNIEはきれいなスタートを決めました。その後も順調にトップを走るも、途中周回遅れのマシンに前方を塞がれ、46号車に真後ろに付かれ軽く接触をされるという場面もありました。このときはかなりヒヤリとしましたが、何とか2台ともコース上に留まることができ、その後もRONNIEはトータル38周首位を守り抜きました。
次生くんにチェンジした後、既に46号車との差は約12秒あり、その後も少しずつ差を広げていっていたので、このまま終わってほしい!!と願わずにはいられませんでした。しかし、やはり簡単には勝たせてもらえませんでした。48周目、30号車の大クラッシュと24号車のトラブル発生により、セーフティーカーが導入されました。それにより46号車とのマージンはなくなり、再度スタート地点に戻ったような思いになりました。そしてラスト9周でリスタート。
しかし、その心配を跳ね返すごとく、リスタート後の次生くんはさらに素晴らしかった!!マージンを失ったことによるプレッシャーは、誰よりもドライブしている次生くんが感じていたはずですが、気迫の走りで最後の最後でファステストラップを刻むという、彼の意地を見せてくれました。そして、私たちが、NISSAN/NISMOファンが待ち望んでいた瞬間・・・トップでチェッカーを受けて帰ってきてくれました!
その瞬間緊張から解き放されたような感覚で、涙が出ると同時に、一気に力が抜けました。また、チームは「勝てそうで勝てない」という呪縛からもやっと抜け出せたと思います。
このゴールまで本当に遠かった。でも、ここからが私たちの本当のスタート地点なのかもしれません。
「NISMOの勝利に貢献してほしい」と大きな期待をされ、今年NISMOに移籍してきた次生くん、そしてMOLAで2年連続チャンピオンを獲り、昨年NISMOに抜擢されたRONNIEにとっても、NISMO移籍後初めての勝利。ワークスチームのエースドライバーとしての重責を抱えながら、なかなかうまく結果に結びつかない難しさを彼らも感じていたと思います。レース直後はパルクフェルメに私たちは入ることができないので、「次生!!」と私が叫ぶと、次生くんはこちらに駆け寄って来てくれ「泣けてきちゃうよ!」と言っていました。
実は富士戦の直後、だいぶ次生くんとは2人でも話し合いました。開幕での自分のミス、そして第2戦でのマシントラブルによって生まれてしまった恐怖心、「NISMOで勝たなくちゃいけない」というプレッシャー。さまざまなマイナス要素と自分に課せられた責任の狭間で悩んでいました。しかし、次の日にはだいぶ落ち着き、「次のオートポリスでは勝つ!」と気持ちを切り替えていました。
それだけドライバーにとっても、私たちにとっても、そしてずっと一緒に開発を行いながら、つらい時期も一緒に戦ってきたミシュランさんにとっても、大きな意味を持つ「勝利」でした。
また、46号車が第2位、12号車が第3位と、1995年以来のNISSAN勢の表彰台独占という素晴らしい結果を残すことができ、本当に胸がいっぱいでした。レース中に見せてくれたJPのオーバーテイクと安田くんのブロックは、ファンだけではなく私たちをも沸かせてくれたし、GT-Rの強さと速さを証明することができたと思います。
もちろん忘れてはいけないことは、今回は24号車にトラブルが出てしまったことです。まだまだ取り組んでいかなくてはいけない課題が山積みなので、これからも立ち止まることなく上を目指して行きます。
最後に・・・ファンの皆さん、本当に長い間お待たせしてしまってすみませんでした!このつらい時期もNISMOチームを支えてくださったのは、サポートしてくださる皆さんでした。オートポリスではNISSAN/NISMOファンシートも設置され、多くのお客様がグランドスタンドを埋め尽くしてくれました。皆さんの熱い応援が、私たちをいつも後押ししてくれるのです。
そして、今週末からは6月14・15日に開催されるル・マン24時間レースで、本山さんと一緒にガレージ56枠からNISSAN ZEOD RCというマシンで新たなチャレンジをするため、ル・マンに行ってきます!こちらも平坦な道ばかりではないですが、世界にNISSANスピリットを発信できるよう、そして日本の皆さんにも私たちのメッセージが届くよう、がんばってきます。こちらも応援よろしくお願いいたします!
本当に、ありがとうございました!!