2020.11.29
様々なことが例年と異なる中で、駆け抜けるように戦ってきた2020年シーズンも、いよいよ最終戦。日産勢は#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)がランキング3位で今大会に挑みました。身が引き締まるような寒さの中、予選6位からスタートした#23 GT-Rは9位でゴールし、シリーズランキング6位となりました。
12月も目前に迫った富士スピードウェイは冷たい空気に覆われ、気温13℃、路面温度17℃というコンディションで公式予選が行われました。Q1の担当はそれぞれ、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)は千代、#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴)は佐々木、#23 GT-Rは松田、そして#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー)は高星となりました。
気温が低いことを考慮してか、GT500クラスの予選はいつもと違ってセッション開始早々からコースへ向かうマシンが出てきました。日産勢も比較的早めのコースイン。#3 GT-Rの千代が、まずはピットを後にします。次にコースに入ったのは#23 GT-Rの松田ですが、#3 GT-Rよりも早めにアタックを開始。計測4周目に1分27秒188をマークして暫定2位につけると、そのままピットに戻ってきました。続いて#24 GT-Rの高星が1分28秒555をマーク。そして、#12 GT-Rの佐々木が1分27秒391をたたき出して、#24 GT-Rの上につけました。最終的に#23 GT-Rは6位、#12 GT-Rは8位でQ2進出を果たしました。#24 GT-Rは15位で、Q2進出はなりませんでした。
他よりもウォームアップに周回数を当てた#3 GT-Rの千代は、計測5周目に1分27秒523をマークして暫定6位につけましたが、チェッカーフラッグを受ける周にライバル勢も次々にタイム更新し、順位後退。千代は2周連連続のアタックで1分27秒414までタイムを縮めましたが、惜しくも9位でQ1突破とはなりませんでした。
Q2では、#23 GT-Rはクインタレッリが、#12 GT-Rは平峰がアタックを担当。クインタレッリは計測4周目に暫定トップタイムとなる1分27秒211をマーク。翌周1分27秒130までタイムを削り、最終結果は6位。#12 GT-Rの平峰は1分27秒647で8位となりました。
気温8℃、路面温度13℃というコンディションになった決勝レース。タイヤのウォームアップが十分にできるようにと、当初からフォーメーションラップは2周が設定されていましたが、さらに1周が追加され、決勝レースの周回数は65周となりました。
入念なウォームアップができた#23 GT-Rは、スタートドライバーのクインタレッリがロケットスタートで一気にポジションを上げます。スタート直後の1コーナーで#64 NSX-GTをかわすと、勢いそのままに#38 GRスープラにも詰め寄りオーバーテイク。さらにダンロップコーナーでは上位3台をアウト側からまとめて攻略し、トップに躍り出ました。
オープニングラップでトップに立った#23 GT-Rは、2周目には2位と1.8秒の差を付けますが、周りも徐々にペースアップし、5周目には2番手を走る#37 GRスープラが0.3秒差まで迫ってきました。最終コーナーで背後に付かれると、並走状態でホームストレートへ。1コーナーのブレーキング勝負になりましたが、GT300クラスの車両に前をふさがれる形になり、#37 GR スープラの逆転を許してしまいました。その後、最低規定周回数の22周を終えるところでピットイン。暫定12位でコースに戻った#23 GT-Rは、ロングスティントを松田が担当しました。終盤に入りペースダウンするマシンが出てくる中、松田は着実な走りで43周を走破。9位でチェッカーを受けた#23 GT-Rはシリーズポイントで2ポイントを加算し、最終的なランキングは6位となりました。
9番グリッドからスタートした#3 GT-Rは、平手が前半スティントを担当。5周目に8位に上がりました。#23 GT-R同様に、前半スティントを短くする戦略を採った#3 GT-Rは23周を終えたところで千代にドライバー交代。ピット作業も素早かった#3 GT-Rは暫定11位でコース復帰すると、全車がピット作業を終えたところで再び9位に戻りました。後半スティントを託された千代は、残り周回数が少なくなってくる中で#12 GT-R、#38 GRスープラとの激しい6位争いを展開。52周目のホームストレートで3台が並走状態になると、1コーナーではタイヤスモークを上げながらのブレーキング勝負で#3 GT-Rが前に出ます。6位に上がった#3 GT-Rは、5位の#8 NSX-GTにも迫っていきましたが、オーバーテイクまでには至らず。それでも最後までプッシュの手を緩めることなく6位でフィニッシュしました。
8番グリッドからスタートした#12 GT-Rは、スタートドライバーの佐々木がライバルたちをかわして6位までポジションアップ。その後24周を終えるところで平峰に交代しました。平峰は#8 NSX-GTとの5位争いで、34周目の1コーナーではイン側に切り込んで勝負をかけましたが、ここでは止まり切れずに相手に抑えられてしまいました。翌周はアウト側から仕掛けるもわずかに足りず、なかなかポジションを上げられません。その後、#3 GT-Rにとらえられるなど終盤は苦しい場面もありましたが、最後まで走り切り7位でチェッカーを受けました。#24 GT-Rは、高星がドライブする前半スティントで同じヨコハマタイヤを装着する#16 NSX-GTをオーバーテイク。GT500クラスの中ではピットインを一番引き延ばし、27周を終えるところでマーデンボローに交代しました。後半スティントでは再びタイヤ交換を行うことになり、13位でゴールしました。
平手晃平
「こんな富士スピードウェイは走ったことがないというようなコンディションで、僕は最低限順位をキープして後半につなげることを考えて走りました。最後、ピットに入るまでに後ろに詰められてしまいましたが、まずまずの仕事ができたと思います。自分たちが持っている力を出し尽くすことに集中して、気持ちよくレースを終えることができました。応援ありがとうございました」
千代勝正
「予選では平手選手につなげられず悔しい思いをしたので、決勝では最後まであきらめない気持ちでプッシュしました。ピット作業も早くて、僕自身もベストを尽くして最後まで追い上げるレースができましたし、1年の集大成を出せたと思います。1年間応援ありがとうございました」
田中利和監督
「最終戦に向けては、自分たちが持っているものを100%出し切ろうと話をして臨みましたが、そういうレースができたと思います。チームとしてもシーズンを通して成長できました。その証の一つがピットワークの速さで、みんなが地道にトレーニングをしてくれたおかげでアベレージが上がったと感じています。もちろん、まだまだ十分でないこともありますので、来シーズンに向けて、さらにいい成績を出せるようにそれぞれが頑張っていきたいと思います」