2020.10.04
SUPER GTの2020年シーズン後半に入る第5戦は、ようやく観客を動員しての開催となりました。昨年の最終戦以来、グランドスタンドには久々にGTファンの姿が。サーキットに少しずつ活気が戻ってきた中、#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴)が予選でフロントローを獲得しました。#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー)も4位につけ、GT-R勢の表彰台争いが期待されましたが、アクシデントやトラブルに見舞われ、苦しい結果となりました。
今シーズン3度目となる富士スピードウェイでのSUPER GT。予選日は、午前中から雲が空を覆っていましたが雨が降ってくることはなく、終始ドライコンディションとなりました。予選開始時の気温は21℃、路面温度は30℃。10月らしい涼しさの中でQ1がスタートしました。
#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は松田、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)は千代、#12 GT-Rは平峰、#24 GT-Rは高星がQ1で出走。#23 GT-Rを先頭に、#3 GT-R、#24 GT-Rは早めにコースインし、#12 GT-Rは最後にピットを後にします。3台のGT-Rがそれぞれ上位タイムを記録し、一足遅れてアタックに入った#12 GT-Rのタイム計測を待ちます。計測4周目でアタックに入った平峰は、セクター2でベストタイムを記録すると、1分28秒032をマークしてトップに。最終的に、#24 GT-Rが4位、#23 GT-Rが5位、#3 GT-Rが8位で、日産勢は4台すべてがQ2に駒を進めました。
Q2は、#24 GT-Rのマーデンボロー、#23 GT-Rのクインタレッリ、#3 GT-Rの平手が、セッションが2分を経過したところでコースイン。#12 GT-Rの佐々木は最後にコースに向かいました。先頭でアタックに入った#24 GT-Rが1分27秒809を記録し、これがライバルたちにとってもターゲットタイムになります。#3 GT-Rは1分28秒481で暫定2位ですが、ライバル勢が続々とタイム更新し、#24 GT-Rのベストタイムを上回りました。しかし、#12 GT-Rが渾身のアタックで1分27秒649をたたき出し、トップ浮上。その後、1台が佐々木のタイムを上回り2番手に後退しますが、佐々木は2周連続でアタックに向かいます。1分27秒620でわずかに自己ベストタイムを削りましたが、惜しくも逆転ならず。それでも予選2位で今季ベストグリッドを手に入れました。#24 GT-Rも4位で表彰台が見える位置からのスタートに。50kgのウェイトで挑む#23 GT-Rは1分28秒310をマークして6位、#3 GT-Rは7位となりました。
決勝日も曇り空で、スタート時の気温は24℃、路面温度は予選時よりも低く27℃というコンディションでした。フロントローからスタートした#12 GT-Rの佐々木は、1コーナーでトップとのブレーキング勝負で止まり切れずオーバーシュート。4位まで順位を落としてしまいます。3位に上がった#24 GT-Rの高星がそのまま一気にトップのマシンに近づき、ダンロップコーナーで見事逆転。#23 GT-Rのクインタレッリが3位に続きました。その背後では、スタート直後の1コーナーで、#3 GT-Rの千代に並びかけようとしたマシンが接触。#3 GT-Rは2コーナーを通過したあたりでフロントカウルが外れてしまい、コースサイドにストップし、ここで戦列を離れることになりました。
#24 GT-Rは12周目までレースをリード。13周目の1コーナーで2位に後退しますが、離されることなく食らいついていきました。25周を終えてドライバー交代。マーデンボローが40周近い後半スティントを託されます。ピットストップ時間とアウトラップで3台が先行し、全車がピットストップを終えた32周目には4位となっていました。マーデンボローもハイペースで前を追いかけ、33周目の1コーナーで3位のマシンに並びかけると、そのままサイド・バイ・サイドの戦いはコカコーラコーナーまで続きます。ここでイン側を押さえていた#24 GT-Rは勝負に競り勝ち、表彰台圏内の3位に上がりました。しかし、35周目に突如スローダウンし、緊急ピットイン。ステアリングに不具合が生じたためで、チームは何とか修復して再びマシンをコースへ送り出しましたが、トップからは5周遅れとなり、最終的には14位でチェッカーを受けました。
スタート直後の1コーナーで一旦ポジションを下げてしまった#12 GT-Rですが、SC後のリスタートのあとに#23 GT-Rをかわして3位になりました。その後ファステストラップも記録して上位2台を追いかけましたが、14周目を走行中、#12 GT-Rに対してペナルティボードが表示されます。SC中に前のマシンを追い抜きしてしまったためで、これによりドライビングスルーペナルティが科されました。#12 GT-Rは15周を終えたところでペナルティを消化。最後尾から果敢に追い上げていきました。24周を終えるところでドライバー交代を行い、後半スティントを託された平峰は上位陣と同等のハイペースで周回。最後は8位までポジションを回復してチェッカーを受け、ポイントを獲得しました。
#23 GT-Rは、#12 GT-Rにかわされた後も4位をキープしました。25周を終えてドライバー交代した後は、松田が担当。暫定10位でコースに復帰すると、6位まで順位を取り戻しました。しかし、終盤にステアリング系の振動で緊急ピットインを行うことになり、11位でチェッカーを受けました。
佐々木大樹
「スタート直後のブレーキング勝負でフロントタイヤをロックさせてしまい、またペナルティで順位を下げてしまいました。ただ、平峰選手がポイント圏内まで追い上げてくれて、シーズン前半の悪い流れを少し変えられたと思います。クルマが速いことは示せたので、次戦の鈴鹿大会も頑張ります」
平峰一貴
「いろいろあったレースではありますが、チェッカーまで走り切るという自分の仕事を尽くしました。走り切った中で課題も出てきたので、しっかりと反省点を見直して次につなげます。勢いを止めることなく次のレースも戦っていきます」