モータースポーツ

2019.05.08

Round 2 FUJI GT 500km RACE

日産系チーム総監督 松村基宏のレースレビュー

GT500もGT300も、いい戦いをしてくれました

SUPER GT第2戦は、岡山に引き続きものすごい雨で序盤に一時レースが中断してしまいましたが、最終的には23号車が2位表彰台を獲得。GT300クラスでも11号車が逆転で優勝を飾りました。応援してくださった皆さん、ありがとうございました。

予選では、23号車のロニー選手が素晴らしいタイムを出してポールポジションを獲得しました。もちろんクルマの準備はしっかりとしてきましたが、普通だったら出ないようなタイムを出してきたところは、やはりドライバーの集中力というものの凄さを感じましたね。56号車の平峰選手も見事、GT300クラスのポールポジションを獲得してくれました。

悔しい2位

23号車は昨年このレースで勝っていますし、当然ポールトゥウィンを狙っていたので、2位という結果に対してはチームの表情は明るくはありません。私からすれば、この結果も十分よくやってくれたと思いますが、チームが達成しようと頑張ってきた位置とは違うわけで、彼らの悔しさはどれほどのものかと思います。岡山の時のように、路面が濡れた状態で赤旗中断となり、もう一度タイヤを温めないといけない、というようなレース序盤から、だんだん乾いてきてスリックタイヤに変えるタイミングを計りながらの中盤戦で、チームが考えた作戦そのものは間違っていませんでした。ただ、気温と路面温度がどんどん下がり、タイヤがいい状態を保つためには難しいコンディションでした。ドライバーは限界を超えて走っていたと思います。

同じミシュランユーザーの3号車に関しても、いい状態でレースを進めていたのですが、23号車と同じ状況になりました。ファンの皆さんも「もしかしたら…」という期待が膨らんだかと思いますが、やはり、ホンダさんもレクサスさんも「このままでなるものか!」という意地を見せてきましたね。平手選手とマコヴィッキ選手も相当苦労しながら6位をもぎ取りました。いい戦いだったと思いますし、チームのみんなも1歩1歩階段を上っている実感を持てているようで、非常にポジティブな雰囲気です。

期待に応えるために、重圧に打ち勝つ

12号車はついていないことに、レース中に2回接触があった関係で順位を下げてしまいました。いいタイムも出していましたし、チームもドライバーもクルマに対する自信はついてきたと思うのですが、イレギュラーなことが起きた時に落ち着いて戦うことの難しさが表れたのだと思っています。またクルマの作り方という面で、“常にバランスが取れているクルマ”にできていないのは私の責任です。これほどレース中にコンディションが変わることはなかなかないとは思いますし、ドライバーとチームの努力は並大抵ではないと思います。もっとコンディションにぴったり合うクルマを作り、また動じない体制を築いていくサポートをしたいと考えています。

12号車については、昨年、本当に勝てそうで勝てなかったレースを経験したので、それが多少の不安感にも出ているのだと思います。周りの期待に応えたいという責任感も強いドライバーとチームですしね。プロセスとして、やることはきちんとやってきていますが、やはりアスリートはプロセスよりも結果を重視しますからね。コンマ数秒の差で戦い続け、最後にもぎ取るという経験はすでにしていますから、慌てることなく歯車をかみ合わせて、今までやってきたことを平常心で臨めるようにしていきたいですね。

24号車は、決勝では申し訳ないことに、エンジン不調に対応する部品の交換で時間を使ってしまいました。また、今回の路面状況が難しかったのと、それに合わせたセッティングをするという点で、望んだところまで行きませんでした。予選から苦労していて、KONDO RACINGのいいところがなかなか出しにくいレースになってしまいました。すべてが合うと、ものすごい速さや強さを見せてくれるので、次戦以降に期待しています。

喜びと、悔しさと

GT300クラスは、56号車がポールポジションを獲得し、11号車が優勝という結果になりました。決勝では、ダンロップさんと安田選手、平中選手のコンビネーション、テクニックが光りました。一度65号車に抜かれましたが、それを抜き返した。メルセデスは今までも安定して勝っているクルマなので、それを抜き返して優勝したのは、GAINERチームとドライバーの力です。一方の56号車は、終盤にランボルギーニの88号車に攻め立てられ、4位となりました。ポールポジションからのスタートで周囲の期待も感じていただけに、ドライバーは非常に悔しかったと思います。同じGT-Rが優勝したのですから、なおさらですね。この悔しさを次戦にぶつけてもらいたいです。

鈴鹿こそは

開幕戦がきちんとしたレースにならなかったので、今回の富士にかける思いは、どのチームも強かったと思います。それに対して結果が伴わず、がっかりしているチームやドライバーが多いですが、私から見ればいい戦いをしてくれたと思います。チームの皆さんの努力と、ファンの皆さんの温かい支援に感謝します。次戦に向けても、各チーム「絶対に勝つんだ」という気合は十分です。エンジニアリングの部分では冷静に分析を進め、鈴鹿に挑みたいと思います。

 
SUPER GT インフォメーション : Round 2