モータースポーツ

2018.11.20

Round 8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

1年間、応援ありがとうございました

2018年のSUPER GT、全8戦を終えました。1年間、日産勢を応援してくださったファンの皆さん、本当にありがとうございました。皆さんの期待に応えることができず、大変申し訳なく思っています。

まずGT500の今シーズンを振り返ると、クルマの競争力が総合力で他メーカーに対し劣っていた。これはやはり事実です。このシーズンオフは、この点についてしっかり取り組み直す事が一番重要だと考えています。昨年も同様にクルマの競争力という面で苦しみ、シーズン中に出来る事は全てやり切った結果、最終戦で23号車がポールトゥウィンを飾り、シーズンを終える事が出来ました。そこをベースにシーズンオフの開発に取りくみ、今年のスタートを切ったわけです。シーズン序盤は、タイム的にもフィーリングの面でも、去年のクルマに対して確実に進化を感じていましたし、リザルトとしても、第2戦富士で優勝したことで、それが明確に証明されました。

ただし、その後の進化が、ライバル勢に対して劣っていた。また、ハードウェア以外の要素でもレースを落としてしまいました。第4戦タイでの日産陣営内での接触、第5戦富士では優勝をほぼ手中に収めていた12号車の吸気系の小さな部品が壊れて勝利を逃し、リベンジを誓った第6戦SUGOではドライバーのわずかなミスでまたもや勝利を逃しました。これは、自分たちのポイントを失うのと同時に、ライバルたちにポイントを与えてしまったということ。ハードとソフト、いくつもの要素が重なり、最終戦前にチャンピオンシップの権利を失ってしまったのです。

NISMOの役割

私は、NISMOという組織の役割は、大きく分けて3つあると考えています。一つ目は、GT500クラスの全4チームに対して競争力のあるクルマを準備する事。二つ目は、そのクルマを使って自分たちの手でチームを組織し、勝利を目指して参戦しながら、シーズンを通してクルマの開発に直接フィードバッを行うこと。そして、NISMO以外のサテライト3チームに成績を出してもらうようサポートすることです。3つ目の役割は、昨年から私の目標の一つに掲げて取り組みを強化してきましたが、まだまだ足りません。この3つの役割はすべて重要なのは当然ですが、まず最初にやらなければならないのはやはり競争力のあるクルマを準備する事。ここをきちんとキャッチアップして、来年は再びチャンピオンシップ争いに戻れるよう、開発陣と共に取り組んでいきます。

勝つことの、勝ち続けることの難しさ

2010年代のSUPER GTを振り返ると、2011年・12年はGT-Rが、2013年はレクサスが、2014年・15年は再びGT-Rが、そして2016年・17年はレクサスがチャンピオンとなり、今年はホンダが、2010年以来のチャンピオンとなりました。我々日産勢もレクサスも、2連覇までは達成し、3年連続に挑みながらもライバル勢に奪われています。勝ち続けるのが難しい、それが今のSUPER GTというカテゴリーです。まさに、メーカーがプライドをかけて戦っているという結果。それぞれが、やるべきことをやってシーズンに挑んでいますが、今年は相手の努力の方が上回っていた。来年こそはライバルたちに負けないよう、一層努力を積み重ねていきたいと思います。

GT300の戦い

GT300はGainerチームの11号車がチャンピオンシップの権利を持って茂木に入りました。予選は6番手と決勝レースに望みを繋ぎ、決勝レースでのペースも良く順位も上げましたが、あと一歩届かず5位でフィニッシュ、シリーズ゙も5位で終えました。今年18年モデルのGT-R NISMO GT3を投入し、Gainerチームと共に一年間戦った事でクルマの更なる進化に必要な貴重な情報を得ることが出来、大変有意義なシーズンとなりました。Gainerチームとファンに皆さんの応援に感謝します。

改めて、今シーズンたくさんの暖かな応援をいただき、本当にありがとうございました。
来シーズン、GT500、GT300ともに再び強い日産を見せられるよう、このシーズンオフも日産系チーム皆で頑張っていきます。

SUPER GT インフォメーション : Round 8