モータースポーツ

2018.04.11

Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

オフシーズンの成果と課題が見えた開幕戦でした。

皆さんこんにちは。いよいよ2018年シーズンが幕を開けました。

昨年は最終戦のもてぎで23号車が見事なポールtoウィンを決めて最終戦を締めくくりましたが、特に前半戦で車両競争力の部分で苦労した事が影響し、残念ながらわずかな差でシリーズタイトルを逃しました。NISMOの開発陣はその反省から今シーズンに向けて開発を早期化し、さらに開発プロセスをも見直して競争力の確保に全力で取り組んできました。また開発以外の項目、たとえばドライバーの合同フィジカルトレーニングやサテライトチームのサポートの強化等、クルマの競争力と合わせてチーム力の向上も、今年のテーマとして取り組み、準備をして開幕戦の岡山に臨みました。

予選で見えた様々な成果

今週末は皆さんご存知の通り、すごく難しいコンディションでの戦いになりました。我々だけでなくすべてのチームが天候に翻弄された週末でした。

公式練習だけをとってみても、ウェットコンディションで始まり、しばらくするとドライコンディションへと変わり、最後に再びウェットという状況でしたから、予選に向けてのセットアップも各チーム共に十分ではない状態で臨まざるを得ない状況でしたが、そのような状況の中で、Q1では24号車の高星がトップタイムを記録しました。

一昨年、負傷した千代の代役として鈴鹿1000kmという舞台でGT500を走らせたとはいえ、ヨコハマタイヤ/24号車での初めての予選でトップタイムを出したというのは、日産勢として非常に大きな成果でした。結果的には3台のGT-RがQ2進出を果たす事が出来、クルマの競争力が確保出来ている事も確認出来ました。

一方で、事前のテストでは日産勢の中で一番調子が良かった12号車が天候と路面状況、タイヤとのマッチングという点で苦戦し、Q2進出を逃すことになったのは非常に残念でした。

続くQ2では、3号車が日産勢最上位の3位となりました。Q1直後に一気に雨が降り、ここも非常に難しいコンディションでしたが、本山が非常に落ち着いて、集中してタイムを出してきました。もちろんドライバーは実力ある2人ですが、NDDP RACING with B-MAXはGT500デビューのチーム。そこが一番上に来たわけですから、これも非常に大きな成果です。また、24号車は6位。同じヨコハマタイヤを装着するレクサスよりも上のリザルトだったのはチームの自信にもなりました。

一方、23号車は車両に不具合が出て、ロニーはアタックできずに終わってしまいました。同じパッケージの3号車が3位だったことを考えると、23号車は十分ポールポジションを狙えるところにいたと思いますので、ドライバーに対して、非常に申し訳ないことをしました。

スタートに関して、思うこと

決勝レースに関してはもう、スタートに尽きますね。昨年の最終戦、スタート直前に接触があったことで、今年からスタート手順が変わりましたが、その新しい手順で行う最初のレースで、23号車と24号車がジャンプスタートの裁定を受けることになりました。スタートラインを超えるまでは追い越しが禁止されているというルールの中で、実際に追い越してしまったわけですから、裁定は真摯に受け止めています。しかしドライバーたちの話を聞き、スタートの映像を見る限り、全体としてもクリーンなスタートではなかったのも事実です。安全性の向上を含め、混乱を最小限にとどめようとスタート手順を変えた直後にこのような形になったことは非常に残念に思います。

日産勢としては、23号車、24号車の2台はペナルティを受けましたが、そのほかの部分ではほぼノーミスで、最終的に順位を5位、6位まで挽回して見せました。3号車は後半の千代のスティントで思うようにペースを上げられなかったことと、ピット作業でロスがあった事が影響して順位を下げましたが、23号車、24号車に続く7位でフィニッシュしポイントを獲得しました。

週末を通して振り返ると、NISMOの開発陣がきちんと戦えるハードウェアを用意してくれたことは確認できましたし、シーズンオフに取り組んできた項目に対して、うまく行ったこととまだ足りていないところが分かりましたので、足りない部分は一つずつクリアしていきたいと思います。

次戦の富士は、GT-Rが得意とするところ。年間2戦ある富士の重要性を意識してクルマづくりをしてきたので、次戦は優勝を狙っています。オフのテストでは12号車も調子が良かったですから、4台揃っていいレースができると思います。

18年モデルのデビューレースはまずまずの出来

GT300に関しては、2018年仕様のNISSAN GT-R NISMO GT3のデビューレースでした。ヨコハマタイヤを履く10号車は、コンディションとタイヤのマッチングという点で難しいレースになりましたが、ダンロップタイヤを履く11号車はきちんと速さを発揮し、予選は3位、決勝では一時トップを走り、最終的には5位でフィニッシュ、トラブルもありませんでした。新しいクルマでの最初のレースでこのような結果を出してくれたGAINERチームに感謝しています。次戦の富士は、NISSAN GT-R NISMO GT3が得意としているコースですから、チームも優勝を狙っているはずです。

久しぶりに両クラスで優勝ができるよう、精一杯頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!

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