モータースポーツ

2017.09.01

Round 6 46th International SUZUKA 1000km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

ポールポジション獲得、そしてポイントリーダーへ。

SUPER GT、真夏の3連戦と呼ばれる中盤戦が終わりました。我々は、他陣営に先駆けてSUGOで2基目のエンジンを投入する判断をし、この3連戦に挑みました。ここでどこまでキャッチアップできるかで、シリーズ争いの権利を持てるかどうかが決まるので、早めに勝負をかけたのです。
その結果、SUGO・富士と優勝に手は届きませんでしたが、GT-Rが2戦連続で2位表彰台を獲得。中盤戦最後の鈴鹿は、より多くのポイントを稼ぐこと、そして何とかここで1勝を、という気持ちで挑みました。

鈴鹿1000kmはシリーズ戦の他のレースと大きく違います。ひとつは距離が非常に長いこと。そして、それによって獲得出来るポイントも他のレースに比べて大きいということです。ですから、この鈴鹿で可能な限り上位でフィニッシュしたい。その為のハードウェアは開発チームがハードワークをこなして準備してくれたので、あとはチームとドライバーがそれをきちんとゴールまで運ぶこと。距離の長い鈴鹿1,000kmの場合、他のライバルとの戦いの前に自分達の戦いをしっかり出来るかが大変重要だということを、チームやドライバーには話をしました。
今回は鈴鹿1000kmファイナルという大会ですから、誰もがこの節目になるレースを獲りたいと思って臨んでいますが、ではどういう状態の時にそのような結果を得られるかと言えば、やはりきちんと準備をしてレースに臨み、ミスをしないで戦えた時です。そういうことが大事だという話をして、鈴鹿の週末がスタートしました。

JPらしいアタックで、GT-Rの速さを証明してくれた
そうして始まったレースウィークですが、まずは予選で24号車が速さを発揮してくれました。GT-Rとして、去年の富士以来のポールポジションを24号車が獲ってくれて、日産陣営として大変いいスタートが切れました。
ポールポジションというのは、速さの証明です。2基目のエンジンを入れた状態のクルマが、速さという面で他陣営と戦える状態にあるということを証明できたのは、我々にとって非常に大きな自信になりました。KONDO RACINGというチームと2人のドライバーに感謝しています。大樹がQ1でしっかり仕事をし、それを受けたJPが今シーズンベストのすばらしいアタックを見せてくれました。昨年よりも速さを抑制するというテクニカルレギュレーションのマシンで、コースレコードを0.4秒上回るというのは凄いことです。タイヤメーカーの努力ももちろんですが、JPらしさの出たすばらしいアタックでした。他の3台、46号車は5位、12号車が7位、そして23号車は12位という予選結果でしたが、それぞれハンディキャップが違う中でのアタックでしたから、予選後も何ら不安はなく、全車がきちんと戦える権利を持っているなと実感していました。

1000kmで際立ったNISMOチームの底力
レース結果は、皆さん知っての通り。自分たちのレースをきちんとできなかったところは順位を下げ、それができたところは順位を上げていきました。
23号車はGT-Rとしては最後尾からのスタートでしたが、ロニー、松田、そしてNISMOチームの持っている強さを終始発揮しました。唯一犯したミスがピットでのアンセーフリリース。一瞬の判断ミスでした。しかしこの後が見事だった。事態を正確に把握し、すぐにどうリカバリーするかという機能がすぐに働いた結果、再び順位を2位まで戻した。これがNISMOというチームです。
クルマの状態が良かったのはもちろんですが、それだけで再び12位まで下がってしまったところから2位までは上がれません。ペナルティが出たところで、チームとしてできる最善策を短時間のうちに立案し、それを2人のドライバーとチームが確実に実行した。当然、立て直された戦略も素晴らしかったですが、その設計図通りに実行出来るか方が難易度は高い。今回は2人のドライバーの強さが特に際立ちました。

今シーズン、そういったレースを続けて来た結果、NISMOチームは現在ポイントリーダーに立っています。富士戦の総括で、「鈴鹿大会が終わった時点でどの順位にいるかというのが非常に大きなポイントだ」と話しましたが、NISMOチームの順位は、我々が想定してきたものの中でもちろん一番良いポジションにいます。

ただし、GT-Rとしてまだ1勝が挙げられていないという点はまだ残っていますし、23号車以外の3台は、まだ自分たちの実力を発揮しきれていない。残る2戦で、日産陣営としては少なくとも1勝を挙げたい。次戦のタイはGT-Rとしても不得意ではないですし、どのクルマにも十分にチャンスがあると思っています。特にハンディキャップの条件が良いクルマは十分にチャンスがあると思いますから、次はしっかりと走り切ってくれると思います。

GT300についても、500クラスと同様のことが言えます。予選では、GT-Rの最上位は10号車の7番手。3号車は、本番を見据えたタイヤ選択の結果、ぎりぎりでQ2進出を逃すことになりましたが、2台ともに決勝に向けてはいい感触を得ていました。しかし実際には、10号車は5位入賞という結果を残しましたが、3号車は接触やペナルティ、タイヤのパンクチャーなど、ありとあらゆることが起きました。タイは10号車も3号車も過去に好結果を出しているコースですから、次こそ今シーズンの1勝目を挙げてほしい。こちらもチャンスは十分にあるので、頑張ってほしいと思います。

SUPER GT インフォメーション : Round 6