モータースポーツ

2017.08.09

Round 5 FUJI GT 300km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

連続で日産が2位。シリーズの行方はまだ分かりません

前戦から2基目のエンジンを投入し、真夏の3連戦の初戦SUGOで46号車が2位表彰台を獲得。日産勢としては、いい流れに乗って富士に挑むことになりました。レクサス勢はハンディキャップが厳しいですから、日産勢とホンダ勢の優勝争いになるだろうと誰もが予想したと思います。我々としても、条件的にはホンダ勢が直接の相手になるだろうと思っていました。

そんな中で行われた予選では、4台のうち3台がQ1突破を果たしました。12号車は条件もいいですし、今回は間違いなくQ1を通過すると思っていたのですが、また少しだけ届かずにQ2進出を逃すことになりました。Q2に進出した3台も併せて、23号車が2位、24号車が5位、46号車が8位、12号車が10位という結果。フロントローから中団に並ぶことになりましたが、決勝に向けてはGT-R勢も強い戦いができるだろうと思っていました。

非常にフェアで、ファンを熱くさせる戦い
今回の決勝レース、殊勲賞はやはり松田でしょう。ロニーももちろんいい走りをしましたが、そのバトンを受けてピットを出た瞬間から38号車が背後についていて、36周にわたってこれを抑えました。次生の真骨頂でしたね。彼の持っているものを、全部使って抑えきった。誰にでもできることではありません。SUGOでも、46号車が1号車とギリギリのフェアな戦いを披露しましたが、今回も23号車と38号車は非常にフェアに、死力を尽くして戦った。今回もSUPER GTの素晴らしさをファンの皆さんに見せられたと思います。

また、それを可能にしたNISMOチームもよくやりました。クルマが進化してきたことや、そのクルマのポテンシャルをしっかりと出せるセットアップ、そしてタイヤ、すべて合わせて良くなってきたからこそきちんと戦えた。36周にわたって38号車をおさえ、最後はトップとの差も1.5秒まで追い詰めました。開幕で出遅れて苦しみましたが、開発陣営が適切な対処をして、チームもセットアップを追求した結果が出てきました。あと少しのところで優勝を逃しているので残念ではありますが、23号車はよく戦ったと思います。それに、富士戦を終えたところでランキングではトップと3ポイント差の5位。開幕の状況を考えれば、NISMOチームの強さが出ていますね。

次につながる戦いも見えた
もう一つ挙げておきたいのは12号車です。予選では少し足りませんでしたが、決勝はきちんと走り、最後まで順位を上げて5位でフィニッシュしました。ようやく12号車らしいレースができたのではないかと思います。後半スティントは安田が担当していましたが、最終ラップでも1台を抜いて、意地を見せましたね。きれいに走ることではなく、1台でも抜いてくるのがドライバーの仕事。安田も相当なプレッシャーの中で戦っていますが、今日の戦いは次につながると思います。

24号車は、JPと大樹がいい走りをしていましたが、クルマにトラブルが出てしまったのが残念です。またGT300では、3号車がオープニングラップでアクシデントに遭ってしまいました。オンボード映像を確認しましたが、避けようがなかったですね。アンラッキーとしか言いようがありません。

このような状況で第5戦までを終えましたが、シリーズランキングは非常に混とんとしています。昨年、我々GT-R勢は開幕から4連勝しましたが最終的にチャンピオンを逃しました。レクサスも開幕から4連勝し、5戦目でホンダ勢に5連勝を阻まれました。鈴鹿1000㎞が終わった段階でどういった順位になっているのか、本当にシリーズの行方が分かりません。こういうときに大事なのは、いつも言っていることですが、その時にできる最善を尽くせるかということです。鈴鹿をちゃんと乗り切ったところがチャンピオンシップを優位に運べるはず。今年で最後になる鈴鹿1000㎞ですからみんなが狙っている1戦ですが、SUGO、富士と、優勝まであと一歩のところまで来ている我々が勝てるようにいきたいし、可能性もあると思っています。非常に大事な1戦になる鈴鹿1000㎞、応援を宜しくお願いします!

SUPER GT インフォメーション : Round 5