2017.07.26
今回の第4戦から、2基目のエンジンを全車に投入しました。1基目のエンジンは少し不具合を抱えていて、各チームに「きちんと」使ってもらえるような状態になっていなかったので、セオリーからすれば早めのタイミングではありますが、十分に信頼性が確保されたエンジンが準備できたので、SUGO戦から全車に投入する判断をしました。ドライバーに思いっきり使ってもらえるエンジンです。ここから先は長いですが、十分走っていけると思っています。
そういう状況から、SUGOでは予選からもう少し上位を狙っていたのは事実ですが、なかなか難しい結果になりました。特にミシュランユーザーの2台は、タイヤと路面状況がうまく合わずに23号車が14位、46号車が15位と、最後列となってしまいました。GT-R勢の最上位は、事前のテストで調子が良かった24号車。FRのクルマの中では、同じヨコハマタイヤを履くレクサスの19号車と変わらないパフォーマンスを見せてくれました。12号車は、ほんの少しQ2に届きませんでした。残っていれば全く違う展開を見せられる実力が十分にあるので、残念でしたね。日産勢は苦しい予選結果になりましたが、翌日の天気は全然違うという予報も出ていましたし、しっかりとそれに対応して決勝に臨みました。
実力と運でもぎ取った表彰台
決勝は、非常に微妙で不安定な天候になりました。ドライバーとチームは直前までタイヤ選択を考え、12号車と24号車はスリックタイヤを選びました。それぞれに理由があっての選択ですが、結果的には天候がタイヤとは逆の方向へと変わり、権利を失うことになりました。十分に走れる力を持っていただけに、この2台の結果は残念ですが、これも勝負事です。他メーカーにもスリックタイヤを選んだチームがいて、彼らもまたツキに見放されました。逆に、14番手、15番手だった23号車と46号車はウェットタイヤを選びましたが、ミシュランタイヤが序盤のコンディションに非常に合っていて、いいペースで走れていました。
今回は3回もセーフティカー(SC)が入りましたが、そのSC導入のタイミングでどこのポジションにいたかというのが、最終的な順位を決めることになりました。3回目のSCは46号車に対して大きな幸運をもたらしましたが、そこまできちんと走っていたからこそ、この運もつかめたのだと思います。千代が前半戦をしっかりと走り、本山がきちんと受け取って、序盤にペースが伸び悩んだところもありましたがきちんと立て直して、平手選手との一騎打ちに持ち込みました。優勝できた可能性も十分にあったので本人はとても悔しがっていましたが、日産勢としては久々となる表彰台を46号車がもぎ取ってくれました。良かったです。最後尾スタートだった46号車が日産勢で一番上のポジションを手に入れた。レースは本当に、何があるか分かりませんね。でも、ミスをしないでしっかりと走り切らなければ、運も近寄ってきません。
一方で、3回目のSCがなければ23号車が多分日産勢で最上位のポジションになっていたと思います。ついていませんでしたが、それでも4位まで順位を上げてきたのは、さすがチャンピオンを獲ってきたチームです。
強いレースを続ける3号車GT300では、あまり得意としていないSUGOで3号車の2人がうまく走って予選で5位を得ました。過去と比較しても、いいポジションを手に入れられたと思います。決勝でも、星野がスタートから2位まで上がりました。彼らのターニングポイントもSCでしたね。ピットインのタイミングで不運が起きて、ポジションを落としてしまいました。実際スリックタイヤでは速さを見せていたので、ここもアンラッキーでした。しかしそこから粘り強く走って、最終的には8位入賞と、ポイントを重ねることができました。今年は周りの勢力図を考えると辛いシーズンになっていますが、その中でも強いレースを続けているなというのが3号車の印象です。こういうレースを続けていけばいずれチャンスは訪れるはず。次戦は得意の富士ですから、他のGT-Rも含め、もっといい成績を出してくれると思います。
SUPER GTが人気なのは、訳がある
今回のレース、ハイライトになった1号車と46号車のバトルは非常にクリーンでした。最終ラップに2台は接触しましたが、真剣勝負の結果。周りのGT500のマシンも、2人のトップ争いを尊重していて、感動を生むレースをみんなで作っていたと感じました。足元の悪い中、ずっとコースサイドで観戦してくれていたお客さんも、喜んでもらえたのではないでしょうか。SUPER GTというレースの素晴らしさを感じたポイントでした。
ようやく日産勢が表彰台に上がる姿をお見せすることができました。ここまでの前半3戦、つらいレースが続いた中を常に応援してくれていたファンの皆さんには本当に感謝です。ここからいいレースを続けていくために、富士・鈴鹿と続く2戦は大変重要になります。特に富士はGT-Rが得意としているサーキット。GT500の4台は全車が優勝を目指しますが、その中でも燃料リストリクターやウェイトハンディという点で優位な12号車と24号車は特にチャンスが大きいと思っています。SUGOのレースで、優勝も十分に射程距離に入ってきた実感を持てましたので、真夏の3連戦で必ず優勝できるよう、頑張っていきます。引き続き、応援を宜しくお願いします。