モータースポーツ

2017.05.29

Round 3 SUPER GT in KYUSHU 300km

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

オートポリス戦は、大きな収穫になりました

今回も予選でGT-Rが2位に入りました。46号車の2位というのはすごく大きな収穫でしたね。前戦の富士でも23号車のロニーがQ2で気を吐いて2位と、今のクルマの実力以上のものを出してくれましたが、今回の46号車もQ1の千代からQ2の本山へとうまくつないでくれました。チームとしても、ここ最近ずっと思うような結果が出ない中で、今回にかける意気込みというのはかなり大きいものがあったと思います。これまでの振り返りをしっかりと行ってからオートポリスに臨みました。その気持ちに、ドライバーもきちんと応えてこの結果。トップ3の一角を崩すポジションを獲得してくれたのは本当に大きなことでした。

12号車、23号車、24号車の3台は残念ながらQ1敗退となりましたが、9位になった12号車は8番手でQ2進出を決めたクルマとの差が0.04秒。本当に僅差でした。12号車は第2戦でトラブルに見舞われ思うように走れなかった部分をきちんと修正して復調してきていましたから、「たられば」ではありますがQ2に残っていたら順位は変わっていたでしょう。周囲との差もこの予選順位ほどではなかったと思っています。

表彰台に必要だったのは、わずかな運
決勝では、レース序盤のセーフティーカー(SC)とレース終了間際の黄旗が大きく影響しました。ライバルにはそれが味方になったところもあるでしょうが、我々としては少し運に見放されたという感じです。

46号車は、スタートを担当した本山がうまく自分のポジションを作っていましたが、SCが入ったことがマイナスに作用してしまいました。しかしズルズルと後退していくことはなく、4位を維持。千代に代わった後半スティントも、ペースは良かったです。ただし、伊沢選手のラインブロックが非常に巧みだったことと、GT-Rの競争力が、相手を軽く抜けるような状態ではなかったことで、100号車にかなり長い間抑えられました。勝負所は1コーナーのブレーキング。その先の2コーナーで不運にも黄旗が出ていました。正直なところ、いったん前に出たあの時が唯一のチャンスでしたが、前戦で黄旗中の追い越しによるペナルティを受けていることを踏まえて、チームも千代も非常に悔しがっていましたが順位を戻すことに決めました。適正な判断だったと思います。千代自身はチャンスをしっかりと活かしましたが、運がそれを助けてくれなかった。残念でしたが、いいレースをしたと思っています。

SUGOでは表彰台を目指して
23号車もまた、流石と言えるレースをしました。予選はクルマのフィーリングが良くなく下位に沈みましたが、そこからきちっと修正してきましたね。決勝では他のどのクルマよりも長い1stスティントをロニーが走り、給油時間を短くすることでピットの作業時間を縮める戦略を採った結果、最後は46号車の真後ろまで迫りました。ニスモチームの強さが際立ったレースになりました。46号車と23号車を含め、3番手から後ろ4台は、最後は集団での表彰台争いになりましたが、本来はそこに12号車も加わっていたと思います。わずかな接触でクルマのバランスが変わり、前とは離れてしまいましたが、それでも1ミスで順位が変わる、SUPER GTならではのレースを見せてくれました。24号車もきっちりと順位を上げ、日産勢は4台揃ってポイント獲得を実行しました。

それぞれのチームがきちんと仕事ができたという点では、非常につらいシーズンインから第2戦、3戦と尻上がりに調子が上がっていることを感じられました。ここからSUGOに向けては約1か月半のインターバルがありますし、その間にはテストも行われます。クルマやエンジンのセットアップを含め、中盤戦からギアチェンジして次のステップへと進められる準備を整えたいですね。ライバル勢のハンディキャップが厳しくなっていく中、日産勢はどのクルマも表彰台を狙えると思うので、必ずこれを獲得できるよう、4台全車で頑張っていきたいと思います。

最善の戦いを続けるのみ
一方、GT300クラスについては苦しい状況が続いています。オートポリスはGT300のGT-Rにとってもゲンのいいサーキットでしたから、もう少し上を狙えると思っていたのですが……。今年は、シーズン中の開発が認められているJAF-GT勢と、昨年新型車として登場したメルセデスが非常に高い競争力を持っていて、GT-RはBoP上も苦しい状況にあるのは事実です。チームはノーミスで戦っているのですが、それでも3号車は9位。10号車は15位でした。BoPだけのせいにするわけではありませんが、それでもこれが見直されることを期待しつつ、とにかくチーム・ドライバーが今できる最善を尽くし、上位争いできるよう頑張っていきます。

今回、オートポリスで2年ぶりにGTレースを皆さんに見ていただくことができました。日産勢としても、ハラハラドキドキが最後まで続く、いいレースをお見せできたのではと思っています。熊本地震からの復興は始まったばかりですが、少しでもお役に立てたらうれしいです。来年は日産勢としてトップ争いをする姿を見せられるように頑張っていきますので、またぜひサーキットに足を運んでいただけたらと思います。

SUPER GT インフォメーション : Round 3