モータースポーツ

2017.05.10

Round 2 FUJI GT 500km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

ベストを尽くすということ

実は、開幕戦の岡山ではマシンに不具合を抱えており、使い方に制限を加えながら戦っていました。第2戦を迎えるにあたり、不具合の対策をして富士に臨みました。ですので、開幕戦に比べれば競争力を上げることはできましたが、まだレクサス勢に対して競争力が不足しているのは事実です。
そういったなかで、まず予選を振り返ると、23号車のロニーのアタックは本当に見事でした。チームもあそこまでのタイムは予想しておらず、想定を超えるタイムを出してきたのは彼のドライビングと集中力のたまものだと思います。他のGT-Rについては、12号車、46号車はマイナートラブルが予選中に出てしまい十分なアタックができませんでした。24号車はJPがハーフスピンを喫したことで思うようなアタックができず、下位に沈んでしまいました。

ライバル勢を切り崩すために
決勝では、2位からスタートした23号車は、序盤はしのぎましたが、現時点ではクルマの競争力の差がありました。それでも4位という「いま得られる最高の順位」を獲得しました。特にハードな3~5番手争いの中で、きちんと自分のポジションを守り切った。チームもピットワーク含めノーミスで送り出し、ドライバーもミスなく戦いました。23号車は全員が誇るべき仕事をしたと思います。もちろんコースで戦っていたチームの力に加え、岡山の結果で今回も厳しい戦いになるだろうという予想をしながらも富士に来てくれた、ファンの皆さんの熱い声援も23号車を後押ししてくれました。本当にありがとうございました。

46号車と24号車はペナルティを受け、12号車に関してはマイナートラブルが再発しました。この3台も、きちんと走ればポイント圏内でフィニッシュできるだけのポテンシャルはレースウィークにあったと思います。そこに届かなかった原因を、チームと、またトラブルに関してはモノづくりをしているニスモできちんと究明をして、同じことを二度と起こさないように努めます。
岡山・富士と2戦で表彰台にあがったクルマもいて、次戦は上位陣がウェイトをかなり積んできます。オートポリスでは、自分たちのレースをきちんとする。それをまず目標に掲げていきたい。そうすればレクサス勢を切り崩すこともできると思うので、また新たな気持ちで臨みたいと考えています。



「絶対に勝つ」という気持ちの重要性
何が起きるのか分からないのがレース。しかし、実力は実力です。SUPER GTはひとつのクルマやメーカーが勝ち続けないことで、最後までお客さんを飽きさせないレースのフォーマットを作ってきました。それでも、チャンピオンを獲るためにはやはりハードウェアをきちんと仕上げなければならない。そういうところが、チャンピオンシップを優位に進められるのです。

今年はF1もレギュレーションが変わったことで勢力図に変化が起きました。SUPER GTでも、レクサスは新車を投入し、とにかく「やり返すぞ」という気持ちで開発を進めてきたのだと思います。クルマを開発するときには、そういった目に見えない力も働きます。戦いに負けているほうが、より強くその力を持つものです。今は日産勢がつらい気持ちを味わっていますが、それに甘んじているメンバーではありません。もちろん、プロの世界ですから簡単ではありませんが、事実を受け入れ、きちんと分析し、打開策を見つける。そういうことが必要になってきます。そのためにも「絶対に勝ってやる、取り返してやる」というマインドセットは重要です。
今回、NISMOの4位という結果に関しても同様。今ある条件の中で、とにかくあきらめずに最善を尽くした結果、4位をもぎ取ったと考えています。これがNISMOというチームの強さ。他のチームも気持ちの強さでは負けていないと思いますが、今回は歯車がかみ合わなかった。オートポリスではそこをきちんと修正し、全車がいいレースを見せてくれることを期待します。

ベストを積み重ねて、先につなげていく
GT300クラスでは、3号車が予選11位から粘り強くポジションを上げ、6位という結果になりました。正直なことを言えば、3号車は優勝を狙っていたので、「もう少し行きたかったな」という思いもあります。チームも同じ気持ちでした。富士戦は気温も上がり、3号車にとっていいコンディションになってきたので期待していましたが、やはりライバル勢がそれ以上に良かった。上位陣の決勝レース中のベストラップを並べてみると、3号車はその中で少しタイムが良くありませんでした。そういう意味で言うと、長谷見監督以下、チームがすごくいい仕事をしましたね。BoP(性能調整)も含め、いまGT-Rが持っているポテンシャルの目一杯を、チームは出してくれました。ノーミスのレースで6位。今はとにかくこういうレースをきちんと続けることが大事だと思っています。それはGT500クラスも同じ。日産の全チームがこういったレースをできるよう、ベースアップに引き続き取り組んでいくつもりです。

次戦は2年ぶりのオートポリスでの大会です。九州の皆さんに楽しんでいただけるレースをお見せしたいと思います。日産勢への応援を宜しくお願いします!

SUPER GT インフォメーション : Round 2