モータースポーツ

2017.04.13

Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

最後まであきらめない


2017年のSUPER GTが開幕しました。今年はGT500クラスの車両規則が変わり、ダウンフォースの25%削減とエンジン使用数が3基から2基へ削減という2点が大きく変わりました。
このレギュレーション変更には、2つの大きな目的があります。1つは速すぎるクルマの安全性を考えてスピードを抑制すること、もう1つは競争に変化をもたらすということです。
この規則変更に対し、ベース車両が変わったことで全くのブランニューマシンを投入したレクサス、コンセプトモデルから正式なNSXへと変わったホンダ、そしてベース車両はGT-Rのまま変更なしの我々日産/NISMOという、事情の違う3メーカーの開発陣が懸命に対応してきました。

ハイレベルなコンペティションの中で
そして迎えた開幕戦は、クルマの競争力が他社に対して劣っているという状況は認めざるを得ず、チームとドライバー、そして何よりいつも応援していただいているファンの皆さんにに悔しい思いをさせてしまったことを非常に申し訳なく思っています。これは開発チームも一緒で、空力パーツに関するホモロゲーションは3月末で凍結されましたが、それ以外の部分で4月末に凍結されるものに関して、いまできる限りの開発を続けています。また、1基目のエンジンはすでに封印されていますが、2基目に対してできることを、今まで以上に進めているところです。

レースでは、ホンダ勢にトラブルが起き、また運もあって23号車が7位、12号車が8位、タイヤとのマッチングに苦戦した24号車が10位と3台が完走してポイントを獲得し、そしてクラッシュで残念ながら46号車はリタイアとなりました。事前の予想通り、レクサス勢が高く安定した競争力を確保しているという結果になりましたが、日産/NISMOとして、負け続けることは許されない。この結果を真摯に受け止め、最善を尽くします。

昨年までのレギュレーションで戦っていた3年間は、2度のチャンピオンを獲得。もちろん楽に勝てたわけではありませんでしたが、競争力は確保できていましたし、成功した3年間だったと言えると思います。ただし現在のSUPER GTは、チームはチームで、ドライバーはドライバーで戦っていますが、各メーカーの開発チームとしても、お互いに戦っています。そのコンペティションのレベルが非常に高く、本当にちょっとしたことで大きく状況が変わってくるような状態です。現在はホモロゲーションが凍結される4月末ぎりぎりまで全力で開発を進め、その後はタイヤとエンジンの開発、そしてハンディウェイトも利用しながら、チームとドライバーの力で取りうる最高の順位を目指していくという戦いになります。厳しい状況ではありますが、各チームもそれを受け止めて全体ミーティングを重ねるなど横の連携をさらに強化しています。日産勢全体で上位を目指して頑張ります。

レース運びが光ったGT300
一方GT300では、10号車が6位、3号車が7位と2台のGT-Rが入賞しました。シーズンオフのテスト結果からすれば少し残念な結果にも見えますが、先週末は天候が不安定で、予選前の雨でいきなり路面コンディションが大きく変わってしまいました。我々が事前にパフォーマンスを発揮していた路面状態から変化してしまったことで、3号車も10号車も厳しい予選結果となりましたが、2台とも非常にいいレース運びで順位を回復していきました。今年はGT3勢とJAF-GT勢とBoPが見直され、全体的に競争力が拮抗してきたように感じます。その中で、2015年にデビューしたGT-R GT3は熟成も進み、チームにもセットアップのノウハウが積みあがってきているので、今年も十分チャンピオン争いに絡めるはずです。次戦の富士は得意としているサーキットですから、今回の借りを返すべく各チームが頑張りますし、我々も4台のGT-R GT3をしっかりとバックアップしていきたいと思います。

日産勢みんなで、苦境を乗り越える
厳しい初戦となりましたが、開発も最善を尽くし、レースではハンディキャップも使いながら、とにかく最後まであきらめずにシーズンを戦い続けます。レースは何が起きるか分からないけれど、最善を尽くしたものにしか結果はついてこない。レベルが高い、挑戦しがいのあるレースだからこそ日産/NISMOはSUPER GTを戦っています。日産/NISMOとして戦うすべてのスタッフが「最善を尽くす」ということを約束します。今回現場でたくさんのファンの方に「待っていますよ」と声をかけていただきました。熱く、温かいファンの皆さんを裏切るようなことはできません。最後まであきらめずに勝利を目指して戦い続けるので、どうかファンの皆さんには、その時が来るまで待っていてほしい。ぜひ今シーズンも最後まで、応援をよろしくお願いします。

SUPER GT インフォメーション : Round 1