モータースポーツ

2016.10.14

Round 7 BURIRAM SUPER GT RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

確実性を上げることの重要性

今シーズンは、第3戦のオートポリス大会が中止となり、最終ラウンドに代替戦が加わるという非常に特殊なレース形態になるため、そのひとつ前のレースになる今回のタイラウンドは、非常に重要なレースでした。我々日産陣営としては、各車が1ポイントでも多く獲得して、いい形で最終戦に臨むという目標を掲げてタイラウンドに挑みました。第7戦開催前の時点では、1号車がランキングトップ。12号車、46号車、24号車が7~9位に並んでいる状態でしたが、大きなポイント差ではないので、十分にランキング浮上のチャンスがあると考えていました。

それぞれのミスが生んだ結果
予選は、トップは取れませんでしたが12号車が3位、46号車が5位と、2台がいいポジションにつけました。24号車も速さはあったものの、Q1をうまくこなせず13位。1号車は100kgと重いですし、ランキング上位につけているレクサス勢も重いですから、今回は日産勢でも軽い12号車や46号車、それにタイを得意としているヨコハマタイヤ勢、ウェイトの軽いホンダ勢が上がってくると予想していたので、予選までは想定の範囲でした。

決勝では残念ながら4台全車に何かしらアクシデントが起きました。1号車は終盤に他車と接触。12号車はピット作業違反でペナルティを受けることになりました。タラレバではありますが、12号車はあれがなければ勝てたと思います。46号車は決勝のペースに苦しみ、24号車はスタート位置が後方に沈んだ事で、想定していたペースで走れなかった。
ハードウェアの面から話をすると、ホンダ勢はシーズン3基目のエンジン、我々日産勢とレクサス勢は2基目のエンジンを使っていました。タイヤのマッチングなどで各車の速さに多少差はあれど、予選・決勝ともにGT-Rは競争力を維持していました。その中でなぜこのような結果になったかと考えると、4チームがそれぞれ何らかのミスをしてしまったことが原因だと考えています。

レースで重要なことは、確実性を上げること。ライバル陣営も、高いレベルの人たちが集まっていますから、「なにか上手いことをやる」というよりも、「ミスをしない事」の方がまず重要になります。この週末、各車が獲りえた順位と実際の順位との差は、そこにあったと思います。

残るチャンピオンの可能性
日産陣営としては、望む形で今回のタイラウンドを終えることはできませんでしたが、一方で1号車は依然として2位と10ポイント差でランキング1位を維持しています。さらに今シーズンは最終ラウンドで2レースが行われ、最大で42ポイントを獲得することができるため、理論上は現時点でランキング14位までがチャンピオンの権利を持っており、当然日産勢の全4台も権利を持ったままもてぎ大会に挑むことになります。

1号車はこの10ポイント差をとにかく最大限に使い、3年連続チャンピオンに挑む。ほかの3台も、今回の結果が良くなかったことで、もてぎの1レース目にはウェイトが軽い状態で挑めますから、この3台でトップ3を占めるくらいの気持ちで臨みたいですね。私の総監督としての目標は、全車がチャンピオン獲得の権利を持って最終戦に挑むこと。まだまだ諦めてはいません。そのためには、もてぎの1レース目はとても重要です。もてぎでは、この最終ラウンドだけに向けた最終スペックのエンジンを入れます。そのエンジンを武器に、戦っていきたいと思います。

今回それぞれが何かしらのミスを生んだということを、各自がしっかりと振り返り、各チームが確実性を上げて最後の2レースをこなせば、結果は付いてくると信じています。そう言う意味では、今回はチャンピオン獲得に向け、最後にもう一度気を引き締めるためのレースになった、と私自身は受け止めています。

GT300クラスに関しても、正直に言えばスッキリとはしない結果でした。GT-R GT3とチャーン・インターナショナル・サーキットとの印象は非常にいい。去年と比較してもGT-R GT3はBoPが厳しくなったにもかかわらず、依然として3号車、0号車ともに速さを見せました。特に、週末を通してヤンの走りには非常に光るものがありましたね。
ただ、こちらも2台ともに少しのミスがありました。このミスで3号車は優勝を逃し、0号車はトップ3入りを逃しました。本来得られる最高の順位は得られませんでした。

GT300クラスでも、3号車は選手権2位に、0号車も終盤に挽回してきていて7位まで来ています。2台ともにチャンピオンの権利は有り、特に3号車には十分にチャンスがあると思っています。1号車がGT500ランキングトップで、そして3号車がGT300ランキング2位で最終戦に挑むというのは、実は去年と全く一緒のシチュエーションです。3号車も今年は全戦でポイント獲得と粘り強さを見せているので、両クラスでタイトルを獲りたいですね。

SUPER GT インフォメーション : Round 7