モータースポーツ

2016.09.01

Round 6 45th International SUZUKA 1000km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

総合力で戦うレース

鈴鹿1000kmは、日産勢にとって「開幕5連勝」がかかっていたレース。終盤までその可能性を持ってレースが出来ましたが、残念ながら達成出来ませんでした。最後までミスなく戦ったものにしか、最高の順位は与えられないのだということを改めて実感した週末でした。

イレギュラー体制で戦い抜いた46号車、GT500デビューを果たした高星
まずは千代の件から振り返ります。富士での怪我が完治するにはもう少し時間がかかるとの医師の診断結果を重要視し、今回の参戦は見送ると判断しました。千代は直前まで可能な限りの努力をして鈴鹿に備えていたので、この判断は彼にとってもつらいものになりましたが、この先もずっと長く活躍してもらうために、大事をとってもらいました。

千代の代役として急遽高星が走ることになりましたが、彼は2013年モデルのGT500にはテストで乗った経験があるのですが、現行のGT500ではこの週末が本当に初めてのドライブでした。土曜日午前中の練習走行で19周をこなしたので、予選のQ1はあのクルマに乗って20周そこそこで出したタイムでした。ギリギリですが7位でQ1を見事に突破し、本山につなげてくれました。本山も、高星の走りを受けてQ2ではトップに僅差の2番手タイムを出し、フロントローを確保してくれました。
決勝レースでも高星は路面が濡れている状況でのアウトラップで一度コースオフをしましたが、今回のレースに参加した全ドライバーの中で一番多い周回数を走り、最終的に3位という結果を得ました。本当に良くやってくれました。千代の欠場で急遽決まった参戦でしたが、本人にとっても自信になったでしょう。

NDDPで言えば、“長男”の安田、“次男”の千代、“三男”の佐々木、そして今回“末っ子”の高星がGT500デビューを果たしました。彼らがNDDPで育ち、全員がGT500に対応してくれた事をとても誇りに思います。

攻めた結果のミス、生まれる課題
1号車は、最後はガス欠症状でゴールラインを切る前にストップしてしまい、6位という結果になりました。そのままいけば4位だったのでもったいなかったですが、それだけ無駄の排除を徹底的にやっていたということでもあります。100kgというハンディをどう克服するか、それはとにかくロスを最小限にするという戦略になります。チームはそれを実行し、ドライバーもそれに応えて4位まで上がりましたが、最終的には6位。SUPER GTは周回数で順位が決定されるので助けられましたがチェッカーを受けられなかったのはミス。攻めた戦略の中でも、そのギリギリのラインをもう一度検証するという課題が残りました。

12号車は今回も優勝が十分に狙える仕上がりで、予選では3位というポジションを獲得、決勝レースも常に上位で周回をこなしていましたが、ピット作業での少しのミスによりレースを終えました。24号車も序盤の接触で失った周回数を取り戻す事は出来ませんでした。

GT300では、0号車が実力を発揮して3位表彰台を獲得しました。0号車は去年の鈴鹿1000kmで優勝をしているので2年連続の表彰台になりますが、これは大したものです。3号車は、最後に接触で1つ順位を落とし10位。もう少し上に行きたかったなというのが正直なところですが、今のウェイトで精一杯やった結果です。ここまで全戦完走してポイントもとっていますから、このしぶとさが最後に活きてくるはずです。

今回のレースではそれぞれのチームで何かしらのミスが出てしまった事で、それぞれが得られたはずの順位を得る事が出来ませんでした。人間がやっている以上、ミスをゼロにする事は困難ですが、ミスの発生頻度の低減、重大ミスになりにくい工夫等、更に追及していく必要があります。レースは最高の効率でゴールまで走りきったチームが勝つもの。非効率なこと=ミスをしたら、負けるわけです。そのことを改めて思い知った週末でした。

ライバル勢も競争力を上げてきましたが、依然としてライバルと充分戦える競争力を維持しています。次戦タイでは全車が良い結果を出せるよう、もう一度気を引き締めて頑張ります!

SUPER GT インフォメーション : Round 6