モータースポーツ

2016.08.10

Round 5 FUJI GT 300km RACE

日産系チーム総監督 田中利和のレースレビュー

GT-Rが開幕から4連勝

真夏の富士で12号車が優勝し、これでGT-R勢としては開幕から4連勝を飾ることになりました。なかなかできない記録です。今回のレースでは我々NISSAN勢も全車が2基目のエンジンを投入しましたが、特にウェイトの軽い12号車と46号車が優勝候補の筆頭と考えていましたから、まずはこの結果に満足していますし、何より星野監督、JP、安田、そしてTEAM IMPULのスタッフ全員に「おめでとう」と言いたいですね。

チーム全員が願い続けた勝利
12号車は、第2戦の富士で置き忘れてきたものをようやく取り戻すことができました。予選日の夕方に行われる総監督トークショーでも話したのですが、予選でポールポジションを獲ったJPの、2番手を0.5秒も突き放したあのタイムは、彼の執念だったと思います。JPは決勝レースでもスタートドライバーを努めましたが、「絶対に勝ってやる」という非常に強い気持ちが出ていましたね。セーフティカー(SC)が出たことでそれまでのギャップが縮まってしまいましたが、再スタートも後ろとの間隔をうまくコントロールしていました。チームのピットワークもドライバーの走りに応えていて非常によかったです。後半スティントの安田も、ラップタイムも速くて安定していましたし、GT300の処理もスムーズでした。とにかく今回のIMPULは、完璧なレースをしましたね。ポールポジションからスタートしてぶっちぎりで勝つという「星野パターン」を見せてくれました。星野監督に優勝をプレゼントしたいというチームの思いと、星野監督自身の思いが重なって、このような形で優勝したことについて、本当に監督には「おめでとう」と言いたいです。

84kgというウェイトを積んでいる1号車に関しては、事前のテストでは重い割にはそれほど悪くないという結果を得ていたので、きちんとレースをして、できるかぎりいいポイントを取ろうということでレースに臨みました。5位に入れれば…と思っていたので、それより1つ上の4位という結果は上出来です。

24号車は、去年もこの夏の富士大会で優勝していますし、ヨコハマタイヤとKONDO RACINGともにゲンのいいサーキットなので、44kgとそこそこのウェイトを積んいるもののきちんと走りきれば上位入賞できるだろうと思っていたのですが、トラブルでリタイアとなりました。電気系のトラブルだったので、NISMOとしてチームに申し訳なかったと思っています。46号車に関しては、これから原因を調査しなくてはいけませんが、かなりのスピードでクラッシュをしているので、まずは千代が無事だったということが何より良かったです。我々もチームもしっかりと原因を追求し、二度と同じことが起きないようにしなければなりません。

しぶとさが光る3号車
GT300クラスでは、今回も3号車が見事な戦いをしました。戦略も良かったですし、SCのタイミングを使って早めにピットに入り、ヤンのスピードを上手く活かしました。今積んでいるウェイトの重さを考えると、彼のラップタイムも非常に良かったですね。ここ2戦ぐらい、3号車はとにかく決勝重視の戦略をとっています。気温・路面温度が非常に高かったですが、ヨコハマタイヤが持ち込んだタイヤがそれにうまく応えてくれたことに加え、ドライバー2人がうまくタイヤをマネージメントしていたと思います。今年の3号車はしぶといですね。これはチャンピオンを獲る条件です。現状では55号車のBMWが今回優勝したことでシリーズランキングも1位に上がってきましたが、これまで上位にいた何台かの車両はポイントを逃しました。3号車はここまで、優勝した以外のレースでもしぶとくポイントを獲っていますし、今年の3号車は強いぞという印象です。鈴鹿から先のタイでのレースまでは、まだ重いですし、暑いので厳しい戦いになるとは思いますが、我慢のレースをしっかりと続けて欲しいです。

また、今回は0号車も9位でポイントを獲得し、少しずつ調子を取り戻しつつあるようです。去年の鈴鹿は彼らがかっていますから、次戦はいいレースを見せてくれるんじゃないかと思っています。

今回のレースでは、高星がスポット参戦でSUPER GTを戦うことになりました。ブランパンGTシリーズのスケジュールと重ならなかったこととチームの要請があったことで今回の参戦となりましたが、極めて少ない走行時間の中でうまく対応したと思います。ラップタイムも悪くなかったし、チームの期待に応える走りは出来たんじゃないかと思います。

GT-R勢としてここまで4連勝を飾りましたから、次こそは46号車に…と思います。4台の中でも比較的軽い状態で鈴鹿に臨めますし、1,000kmレースなのでここでの獲得ポイントは大きい。次戦は46号車に優勝してもらいたいと思っています。一方で、ライバルメーカーとの競走がますます激しくなってきたというのは、今回の結果を見ても明らかです。今回速さを見せてきたホンダ勢は鈴鹿を得意としていますし、当然レクサス勢も上位を狙ってくるでしょう。鈴鹿1,000kmも、気を引き締めて臨みたいと思います。




SUPER GT インフォメーション : Round 5