モータースポーツ

2021.05.23

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦

DAISHIN GT3 GT-Rが逆転で総合優勝を飾る! MP Racing GT-Rは2度のアクシデントにも屈せず24時間のチェッカーを受ける

5月21日〜23日 富士スピードウェイ(静岡県)

5月21日(金)~23日(日)、富士スピードウェイでスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」が開催されました。日産勢はST-Xクラスに2台のNISSAN GT-R NISMO GT3が、ST-3クラスに2台のフェアレディZが参戦。このうち#81 DAISHIN GT3 GT-R(大八木信行/青木孝行/藤波清斗/坂口夏月)が、総合優勝を果たしました。

通常は土曜日に公式予選が行われますが、富士24時間レースでは金曜日に行われることになっています。しかし、この日は朝から横殴りの強い雨が降り続き、12時00分から開始予定だったセッションは、天候回復を待って開始時刻を遅らせることとなりましたが、回復する見込みはなく15時10分に予選の中止が発表され、決勝のグリッドはシリーズランキング順で並べられることとなりました。

22日(土)には雨も上がり、15時00分からスタートした決勝レースは曇り空ではあるものの、ドライコンディションとなりました。レース中には一時霧が発生し、霧雨がパラつくこともありましたが、終始ドライコンディションでのレースとなり、23(日)のレース終盤には青空が広がる天気となりました。しかし、第2戦のSUGO大会とは異なり、全9クラスの混走ということで、コース上ではアクシデントやトラブルが絶えず、合計で16回のFCY(フルコースイエロー )、3回のSC(セーフティカー)導入がある波乱のレース展開となりました。

このうちST-Xクラスは7台が参加し、日産勢はレギュラー参戦している#9 MP Racing GT-R(JOE SHINDO/柴田優作/影山正美/松田次生/元嶋佑弥/井上恵一)と#81 GT-Rがエントリー。この中でも5番手からスタートした#9 GT-Rは、松田次生がスタートドライバーを務め、2周目で2番手に浮上すると、ポールポジションからスタートした#777 Aston Martin Vantage GT3との差を詰めていき、開始から15分経った8周目のTGRコーナーで逆転に成功します。

 
 

トップに躍り出た#9 GT-Rは、#999 NSX-GT3が1秒後方に迫ってくるなど、気の抜けない展開が続きましたが、松田はミスのない走りでトップを死守しました。しかし、その後に何度か導入されたFCYのタイミングでうまくピットストップを済ませていた#290 McLaren GT3にトップの座を奪われ、夜間走行に入ったところで3番手に後退しますが、トップ再逆転を狙い、着実に周回を重ねていきました。

一方、3番手からスタートした#81 GT-Rは大八木信行がスタートドライバーを担当。激しいバトルが予想される序盤戦は、その争いに加わらずにマシンを温存しながらレース後半で逆転していく作戦を選びました。その中で大八木は6番手まで順位を下げるものの、安定したペースで周回を重ね、トップを射程圏に捉えた状態で藤波清斗にバトンタッチ。少しずつペースを上げていき、開始から5時間を経過したところで4番手まで挽回しました。

2台とも順調に走行を続けていましたが、開始から7時間30分が経過した22時30分すぎに#9 GT-Rがダンロップコーナー手前で下位クラスの車両との接触でコントロールを失い、イン側のガードレールにヒット。マシンは左フロントフェンダーから後部にかけて大きく損傷してしまいました。

一時はリタイアになるのではないかと思われましたが、チームはレース復帰を諦めず、リペアエリアに運ばれたマシンの修復を開始。なんとか自走ができる状態に戻してピットガレージまでマシンを移動させ、さらに修復作業を続けました。そして、アクシデントから約7時間40分後の23日(日)午前6時16分にレース復帰を果たしました。

 
 

#81 GT-Rは深夜の時間帯も青木孝行と藤波が中心となって走行を担当し、順調に周回を重ねていました。同クラスのライバル車両が次々とトラブルに見舞われたこともあり、レース折り返しとなる開始12時間でトップに浮上。その後、義務となっている10分のメンテナンスタイムを消化し、開始から15時間を迎える頃には、ライバルの脱落もあり、後続に対して20周以上の大差をつけ、独走状態となりました。レース序盤から車内のディスプレイがうまく表示されないなど細かなトラブルに見舞われていた#81 GT-Rですが、チームが一致団結して問題に対応し、レースを続けていきました。

早朝にレース復帰を果たし、追い上げをみせていた#9 GT-Rですが、午前10時を迎えた頃アクシデントで損傷を受けたマシン後部に再びトラブルが発生。駆動が伝わらなくなってしまい、コース脇で再び停車してしまいました。チームはリペアエリアで再び修復作業を行い、およそ3時間弱で再びマシンをコースに送り出します。なんとか最後まで走行を続け、473周を走破しましたが、規定周回に61周足りず。残念ながら完走扱いとはなりませんでしたが、24時間のチェッカーフラッグを受け、チームスタッフ・ドライバーとも喜びの表情をみせていました。

レース終盤、大量リードを存分に活用して着実な走りをみせた#81 GT-Rは、残り1時間を切ったところで最後のピット作業を行いました。マシンをガレージに戻して、細部でトラブルの兆候がないかを徹底的に確認する念の入れようで、大八木がマシンに乗り込んでコースに復帰。763周を走破して、総合優勝を飾るトップチェッカーを受けました。#81 GT-Rにとっては昨年のS耐復帰後初勝利。昨年の富士24時間ではアクシデントにより優勝を逃す悔しい結果となっていただけに、チーム・ドライバーともにレース後は喜びを爆発させていました。

青木孝行(#81 DAISHIN GT3 GT-R/ 優勝)
「まずは大八木選手にスタートを行ってもらって、そこでクルマを消耗させずにうまく引っ張ることができたので、途中のメンテナンスタイムを取るタイミングにも幅を持ってレースができました。序盤からクルマを労わりながら走れたのが勝因かなと思います。この24時間で勝つとポイントを大きくもらえますし、チームのモチベーションも上がります。これからの後半戦が楽しみですね」

 
 

ST-3クラスは6台が出走し、日産勢は#15 岡部自動車レカロZルーニースポーツ(長島正明/小松一臣/甲野将哉/植田正幸/田畑勇/勝亦勇雅)と、#244 QUEEN EYES 34Z(田中徹/田中哲也/三宅淳詞/佐藤公哉)が参戦しました。

ST-3クラス2番手からスタートした#244 Zは2度のブレーキトラブルに悩まされ、その修復のためタイムロスを余儀なくされてしまいます。一時はクラス5番手まで後退しますが、粘り強く走り続け、680周を走破してクラス4位でチェッカーを受けました。しっかりと完走を果たしポイントを獲得したことで、シリーズランキング2位の座を死守しており、チャンピオン獲得を目指して後半戦に向かうこととなります。

一方、ST-3クラス6番手からスタートした#15 Zは、レギュラードライバーの3名に加えて、植田正幸、田畑勇、勝亦勇雅の3名が富士24時間の助っ人としてスポット参戦し、6名の体制で臨みました。トラブルやアクシデントもなく順調に周回を重ねていき、685周を走破してクラス3位を獲得。#15 Zとしては今シーズン初の表彰台獲得となりました。

公式リザルト:Rd. 3決勝結果 (スーパー耐久オフィシャルサイトへ)

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