NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2016

辻野ヒロシのNISMO FESTIVAL 2016 コラム

Vol.3 「歴代の日産ワークスドライバーたちとの素敵な時間を!」

12月11日(日)に富士スピードウェイで開催される「NISMO FESTIVAL 2016 supported by MOTUL」でメインMCを務めることになりましたレースアナウンサーの辻野ヒロシです。コラム3回目はドライバーという視点から。

先日、NISMO FESTIVALを前にSUPER GT最終戦、ツインリンクもてぎで、NISSAN/NISMOブースへの出演と同時に「ニスモ」に密着させていただき、裏側からレースを見せていただきました。サーキットのレースアナウンサーである僕が特定のメーカーや特定のチームに入り込んでレースを見る機会というのは極めて稀なことです。レース実況はニュートラルな立場で喋る職業ですからね。そういう意味では非常に貴重な経験になりました。

レースウィーク中に「サーキットエクスペリエンス」というSUPER GTが主宰する市販車での同乗走行イベントがあるのですが、幸運にもニスモアンバサダーのミハエル・クルム選手がドライブするNISSAN GT-Rの助手席に乗せて頂きました。実はツインリンクもてぎのコースを走るのは初めての経験で、いろんな発見がありました。クルム選手の限界ドライブで、凄まじい加減速の連続を体感。身体でそのGフォースを感じながら僅か1周の走行でしたが、強烈な体験をさせていただきましたよ。

SUPER GTのドライバー達は1周で何度も訪れるキツイGフォースの連続に耐えながら、ライバルやバックマーカーの動きを瞬時に察知し、脳みそというヒューマンコンピューターをフル稼働させながらタイムロスすることなく走るわけですよ。それが彼らの仕事。しかもそれを僕が今回経験した1.5倍くらいの速度領域で行うわけですから、本当にすごい世界です。自分には絶対できません。レーシングドライバー達は途方も無い世界で生きている人たちなのだと改めて体感させてもらいました。心から尊敬します。

そんな凄まじい領域で結果を残し、栄冠を掴んできた歴代のプロドライバー達は「レジェンドドライバー」と呼ばれます。NISMO FESTIVALには日産・ニスモの歴史を彩ってきたワークスドライバーの皆さんが今年もレジェンドドライバーとして出演されます。砂子義一さん、北野元さん、柳田春人さん、和田孝夫さん、そして現在はSUPER GTの監督でもある長谷見昌弘さん、星野一義さん、近藤真彦さん。

レジェンドの皆さんの出演はNISMO FESTIVALでは恒例です。そのレジェンドの皆さんが自分たちが戦ってきたマシンで全開走行してくれるわけですから、当時を知る方はたまらないですよね〜。そして、レジェンドの皆さんは現役を離れられてから時間が経ったからなのか、近年は硬派な日産系ドライバーのイメージからはとても考えられないお茶目なジョークもトークショーで展開してくださいます。めちゃくちゃ面白くて、僕も大好きな時間です。

NISMO FESTIVALの舞台となる「富士スピードウェイ」が開業50周年ということで、今年のNISMO FESTIVALでは富士にちなんだマシンが多数走行することになっています。グループCカーはもちろん1960年代の「日本グランプリ」(主に日本のメーカーが戦った伝説的レース)を戦った「プリンスR380」「ニッサンR381」なども走ります。実はこういったマシンは、普段は日産自動車の座間記念庫に保管されていて、出番の前にニスモ本社でSUPER GTのマシンと並んでメンテナンスされNISMO FESTIVALでの走行に備えます。先日もニスモのガレージでは「ニッサンR382」などが丁寧にメンテナンスされていました。

特に1960年代のレーシングカーが走るチャンスは非常に少なく、ぜひNISMO FESTIVALで富士のロングストレートを走る姿を目に焼き付けてください。当時の富士は1コーナーで曲がらずに、そのまま30度バンクに飛び込み、アクセル全開で駆け抜けていった時代ですから、強烈なパワーが何より大事。アメリカ車よりもさらにマッスルマッスルしたエンジン音をぜひ楽しんでください。さすがに30度バンクは走りませんが、息を止めて勇気を振り絞って高速バンクコーナーに入っていったレジェンドたちの話も必聴です。

富士スピードウェイが開業した50年前。まさに日本のモータースポーツ黎明期に活躍された方々、1980年代のグループCカーの時代の名選手、そして全日本GT選手権、ル・マン24時間レースへの挑戦など90年代以降の日産・ニスモの活動を支えた選手たち。ありとあらゆる世代のドライバーが一堂に会し、大先輩の話を聞きながら、コース上では共にマシンを走らせる。マシンだけでなく、日産のワークスドライバーたちが受け継いできたレースに勝利することへの飽くなき探究心をぜひNISMO FESTIVALで感じて頂けたらと思います。