For immediate publication - Race Report Vol.5 - 13,June 2004
天候に悩まされたナイトセッションも終わり、終盤に突入
ファルケンGT-R、総合5位/クラストップを疾走中! 【18時間経過】




レースも14時間経過となる朝5時を迎えて、薄い霧につまれた闇が、徐々に白く浮かび上がる。いよいよ夜明けだ。朝霧の白から森の緑へ景色が移り変わっても、ニュルブルクリンク24時間レースはまだまだこれから。しかし、雨で黒く光る路面と白い霧のモノトーンの世界で孤独な戦いを続けてきたドライバーにとっては、アイフェルの森の深い緑と、コース脇でキャンプをしながら応援する数万人の人々の姿は、力強く映るに違いない。しかしマシンにボディブロウのように与えられるストレスに、いつ、どのマシンが悲鳴をあげるのか、まだまだ余談を許さない。トップ2は変わらず#42、#43のBMW M3 GTR。ファルケンGT-Rも、この時点までまったくのノントラブルで総合6位、クラストップを堅持している。

ドライバー交代を済ませ一息をついている木下隆之は、次のスティントまで時間があるにもかかわらず、ピットに居続けている。「何か良いことがあるような気がする。テンションが上がっていて眠れない」とここまでほとんど寝ていないそうだ。

霧が濃いにも関わらず、トップのBMW以上のラップタイムでコンスタントに走り続けたローランド・アッシュ。スタッフは「彼は霧だろうが雨だろうが全然気にしないで走って何事もなかったように帰ってくる。なんたって“ドイツの都平健二”だから」と笑っている。

6時前から再び雨足が強くなる。場所によっては霧も深くなってきた。6時15分、アッシュがピットインしてダーク・ショイスマンに交代。ポジションは、表彰台まであと一息の総合5位まで浮上した。

7時になっても気温は上がらず、路面温度は10℃と寒い。レインタイヤとはいえグリップしづらい状況だ。序盤のクラッシュで長いピット作業をして出遅れたアルツェン組の#2ポルシェ・ターボが、ファルケンGT-Rの後ろ、1周+αの差で迫ってきている。圧倒的な早さでポールポジションを獲得したマシンだけに、特にドライコンディションになると追いつかれる可能性もあるが、ファルケンGT-Rにとっては振り向かずマイペースで走り切ることが最良の手段だということは、チームの誰もが知っている。

そしてレースも18時間経過。残りは6時間だが、勝負はまだまだこれからだ。


ローランド・アッシュ選手
「クルマはまったく問題ない。タイヤも縦のトラクション方向はしっかりグリップしている。横方向ははさすがに雨の量で滑るけれど慎重に行けば大丈夫」
RACE RESULTS    Sunday,13 June 2004 - after 18 hours
Pos. No. Car Driver Lap Time Lap
1 42 BMW M3 GTR MüLLER Dirk
MüLLER Jörg
STUCK Hans-Joachim
LAMY Pedro
105 17:50:13.757
2 43 BMW M3 GTR LAMY Pedro
SAID Boris
HUISMAN Duncan
STUCK Hans-Joachim
104 17:49:31.130 1 lap
3 46 PORSCHE 911 GT3 MR LUHR Lucas
KLASEN Arno
BERNHARD Timo
MANTHEY Olaf
102 17:48:43.299 3 laps
4 8 AUDI Abt-Audi TT R HUISMAN Patrick
STIPPLER Frank
WENDLINGER Karl
ABT Christian
102 17:54:51.458 3 laps
5 44 NISSAN Skyline GT-R ASCH Roland
SCHOYSMAN Dirk
KINOSHITA Takayuki
TANAKA Tetsuya
98 17:51:00.014 7 laps
6 2 PORSCHE 996 Turbo ALZEN Jürgen
ALZEN Uwe
BARTELS Michael
LUDWIG Klaus
97 17:49:38.843 8 laps
7 7 AUDI Abt-Audi TT R ABT Christian
EKSTRöM Mattias
EKBLOM Fredrik
HUISMAN Patrick
97 17:54:45.295 8 laps
8 34 PORSCHE 996 GT3 Cup OTTO Jörg
WEISS Georg
ERKES Artur
ZINNOW Thomas
95 17:47:20.945 10 laps
9 38 PORSCHE GT3 RS BASSENG Marc
KONRAD Franz
SIMON Patrick
FRANCHITTI Marino
95 17:52:03.705 10 laps
10 85 PORSCHE 996 GT3 JÄGER Thomas
SCHMICKLER Frank
PRICE Jonathan
95 17:52:31.134 10 laps


昔の名前で出ています
ニュルで見かけたこんな顔、あんな顔
今年のニュルブルクリンク24時間には、かつて名声を得たベテランドライバーの参戦が目に付く。まず、元DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)チャンピオンで、レースから引退していたクラウス・ルドビクが、今回ポールポジションを獲得した#2ポルシェのクルーとして参加し、元気な姿を見せている。また、かつてBMWワークスドライバーとしてETCチャンピオンを獲得するなど大活躍したロベルト・ラバーリアも、BMWグループの#102ミニ・クーパーSをドライブしている。
F1経験組としては、ハンス-ヨアヒム・シュトゥック(#42 BMW)、ペドロ・ラミー(#43 BMW)、カール・ベンドリンガー(#8アウディ)らがワークスドライバーの誇りを持って、トップを争っている。
この他で興味を引かれるところでは、ベルント・シュナイダー(#84ランサーEVO8)。しかし彼はDTMチャンピオンとは同姓同名の選手。また、今回の24時間のサポートレースでも堂々の優勝を飾り現在ドイツナンバーワン女性ドライバーと言われるクラウディア・ヒュートゲン(#10 BMW)、DTMにおいて唯一優勝を果たしている女性ドライバーであるエレン・ローア(#112クライスラー・クロスファイア)もこのクラシックイベントに参戦している。


      2004 NÜRBURGRING 24h-RENNEN - RACE REPORT