この歴史的なレースで優勝するという
私の夢はまだ実現されていない。
 
 日産のル・マンプロジェクト・ダイレクターである柿元邦彦は日産のル・マンへの取り組みに関する去年からの変更点と、この歴史的なレースにどうして勝ちたいのかについて次のように語った。
 
 
 「日産は今年プロトタイプカテゴリー(LMP)で3台参戦する。2台は5リッター、V8エンジンを搭載した新型R391だがもう1台はC52である。日産が大きな成功を修めたV8のツインターボエンジンを搭載したC52は、フランスのクラージュコンペティションがパートナーとなる。この車は日産とクラージュがル・マンのために長期に渡り協力に取り組んだモデルであり、2台のR391と共に私が監督を務める。

 LMPカテゴリーに参戦することを決めたのは、1998年は有利であったGT1カテゴリーに微妙なレギュレーション上の変更が加えられたからだ。今年は最低重量規制と燃料タンク容量はどちらのカテゴリーも同じである。GT1はエンジンパワーにおいてレギュレーション上有利だが、よりシンプルになったシャシー設計やレース中のピットでのメンテナンスのし易さの点でプロトタイプは有利である。レースは今年間違いなく接戦となるだろうが、私はプロトタイプがル・マンの総合優勝を飾ると確信している。

 
 C52 Testing

 1998 Le Mans
 R391はエンジンパワー、空力、信頼性というル・マンで勝つために絶対必要な性能を考慮して開発された。新型の5リッター、NA、V8エンジンは18カ月以上かけて開発された。我々がNAエンジンを選択したのは、運転しやすく、空力性能に優れ、ターボが無いためより小型で重心が低く、簡単に搭載できるからである。

 空力性能の改善には、昨年の秋より毎月風洞実験を行ってきた。信頼性については、ギアボックスに関して耐久テストを何度も日本でおこなってきた。そして昨年4台全てのR391GT1がトップ10で完走した時に我々がル・マンで得たデータももちろん今年の車のコンセプトに取り入れている。

 今年のル・マン24時間レースは、長いル・マンの歴史の中でも最高の耐久レースのひとつとなるだろう。日産がこの歴史的なレースで優勝するという私の夢はまだ実現されていない。ル・マンは最も過酷なレースであり、最高の信頼性を持つ車を開発することを常に追求する日産にとってふさわしいレースである。」

les 24 Heures du Mans des 12 et 13 juin 1999.