本年のSUPER GTシリーズ最終戦(第9戦)は富士スピードウェイに舞台を移し、11月4日(土)に公式予選が行われた。曇り空に覆われた静岡県東部は、この日午前10時00分の時点で気温15度と肌寒い。スーパーラップ(SL)進出をかけた午前中の予選では、このレースがデビューとなる新型自然吸気エンジン搭載の「MOTUL AUTECH Z」(#22 ミハエル・クルム/リチャード・ライアン組)に注目が集まった。
午前10時30分から公式予選のGT500クラス専有走行が始まった。真っ先にコースインして行ったのは、前戦オートポリスで優勝し80kgのハンディウェイトを積む「XANAVI NISMO Z」(#23 本山哲/松田次生組)で、早々に本山がタイムアタックを開始した。しかし、ストレートの長い富士は重いシャシーではスピードが乗らず、1分35秒136のベストタイムを出したものの、その後次々に他のマシンが34秒台を記録したため予選結果は12位。SL進出を逃した。
新型エンジンのマシンながら前回までに貯めたハンディウェイトを引き継ぐことになった#22 Zは、80kgを搭載し初めての公式予選に臨んだ。
自然吸気(NA)エンジン特有の甲高いエキゾーストノートを響かせながらコースインしていったアタッカーのクルムは、セットアップ確認を済ませ、徐々にタイムを上げていった。そしてGT500専有時間の終了ぎりぎりに1分34秒661のベストタイムを記録。8番手に食い込み、SL進出を果たした。シーマ、フーガ用4.5リットルエンジンをベースとしたV型8気筒DOHCの「VK45DE」エンジンは、デビューレースでSL進出という最初の目標をクリアした。
これまでなかなか目覚ましい結果が残せていない「イエローハットYMSトミカZ」(#3、横溝直輝/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)は、高いモチベーションをもって今年最後の舞台に挑んでいる。ハンディウェイトはゼロで、前日の練習走行でも好タイムを続出していた。そしてオリベイラが満を持してタイムアタックを開始し、1分34秒214を出して3番手のポジションを獲得した。また、唯一の横浜タイヤ装着車である「WOODONE ADVAN Z」(#24、柳田真孝/荒聖治組)は、Z勢で最も重量が軽い。柳田がアタックを担当し、#3に続く4番手のタイムを記録した。一方、70kgのウェイトを積んだ「カルソニック インパルZ」(#12、ブノワ・トレルイエ/星野一樹組)は14番手タイムでSL走行を逃した。
ニスモ 飯嶋嘉隆監督
「#22は昨日の走行では調子が今ひとつだったのですが、今日は本調子が出せてホッとしました。アタックラップの区間タイムを見るとセクター2(第2区間)が速かったですね。もちろんエンジンそのものもまだ開発途上ですし、シャシーも重量配分などこのエンジン用に作っていないので、現段階ではこのタイムはほぼベストだと思います。もちろん予選ではトップ10入りしてSL進出できると確信していましたが、実際にはハラハラしました。SLではさらに上位を目指してアタックしてほしいし、明日の決勝レースではニスモのチームチャンピオン獲得に向けて重要な役割を果たしてくれるものと信じています。#23も重量のわりには、良い線いっていると思います。レースではファンの皆さんの期待通り、このままのポジションでは終わらないので是非お楽しみにしてください」
#22 Z ミハエル・クルム
「クルマはとても良かったです。最初の予選でトップ10に入れてハッピーです。新エンジンは、開発時間が短かったのに、よくここまで間に合わせてくれたと(チームに)感謝しています。80kgも積んでいるのに、良いパフォーマンスを発揮してくれました。まだ長距離を走った実績が少ないので、明日はどうなるか未知ですが、僕たちはとても前向きな気持ちになっています」