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「あんなに全部が決まるなんて、人生に1回か2回しかないぐらいのチャンスだったのに。勝てるレースやった」と#46 Zの佐々木の怒りは収まらない。レース終盤の72周目、佐々木は2位に6秒3の差をつけてクラストップを走行中。あと1回のピット作業を残してはいたが、結果的にこの日優勝した車両を1分以上もリードしていた。そしてその周回のダンロップコーナー進入で周回遅れの#7RX-7と接触してスピン。右フロントを大破してピットインしてポジションを大きく落とした。接触の相手は昨年一緒にコンビを組んでチャンピオンを獲得した山野哲也。さらに接触の数周後に脱水症状を起こして直後に医務室に運ばれていた。佐々木は何度も「あり得ない!」と口にした。
荒れた500kmの決勝レースは、まずスタート直後の1コーナーから混乱した。スタートでポジションを上げた#13 Zの影山が1コーナーで他車と接触。しかし危険走行として影山にピットロードのドライブスルーペナルティが課せられてしまった。#46 Zのスタートドライバーは、GT初の担当となる番場。ペースの上がらない車両に前方を塞がれてしまったが、5周目には4位、13周目には3位へポジションアップした。一方、#47 Zのスタートドライバーは長島。スタート直後の混乱でポジションをやや落としたが、その後は着実に周回を重ねて12周目には17位へ順位を回復していた。しかしやがて「デフがロックして1コーナやダンロップコーナーで飛び出してしまいました」(長島)と本来のペースで走れない状態となった。さらにピットインの際にホワイトラインをカットしてドライブスルーのペナルティを受けることになった。
3位を走行中の#46 Zの番場は、24周目の1コーナーでGT500車両に接触され、バランスを失ったスキに4位へ後退。
しかし他チームが30周前後からルーティーンピット作業を始めてもドライブを続け、38周目にはトップに立ち43周でピットイン。ここで佐々木にバトンを渡した。#13 Zは30周、#47 Zは36周でピットインして、それぞれ藤井、安田に交代。18位でコースに出た藤井はステディなドライブを続けて8位までポジションを上げる走りをみせたが、安田はデフのトラブルを抱えたままで苦しい走りを続けた。
8位でコースに出た#46 Zの佐々木は、53周目には3位に浮上。そして61周目には2位、さらに65周目のヘアピンコーナー進入で#14ポルシェを捕らえてトップを奪った。ストレートスピードで勝る#14ポルシェがストレートエンドで一旦逆転するも直後に佐々木が再逆転。その後は徐々にリードを広げて予定どおりに優勝へ突き進むはずだった。しかし72周目のダンロップコーナー手前で冒頭のアクシデントが起きた。
ポジションを落とした佐々木だったが、チームスタッフの懸命なピット作業もあり、6位でチェッカーを受け5ポイントを加算した。#13 Zの藤井は62周に2回目のピットインをして影山に交代。影山はそこから猛烈な追い上げを見せて、87周目にはトップと34秒差の4位に浮上。しかし92周目の2コーナーでGT500の5位争いをしていた#3 Zと接触して、右リアのホイールが割れスローパンクチャーでピットイン。影山は「(最初に抜いてきた#23 Zの)本山はバックモニターで確認できたけど、その後ろにいた(#3 Zの)横溝はミラーが横を向いていて見えなかった」と唇を噛んだ。#13 Zはピットでフレッシュタイヤに交換。ポイント圏外となったため、最後は影山が最終周に1分43秒478のファステストラップを叩き出して3ポイントを追加した。#47 Zは安田が最後の2スティントを担当して14位でフィニッシュした。
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番場琢(#46「吉兆宝山 DIREZZA Z」/6位)
「スタートを担当するのはS耐(スーパー耐久)以来でしたが、それほど緊張はありませんでした。3位に上がってからはタイヤを労わりながらプッシュしました。与えられた仕事は問題なくこなせましたし、上出来だったと思います。自信にもなりましたし。でも今日は勝てるレースでしたから、6位という結果は悔しいです」