
2004年、GT500にデビューしたフェアレディZは、オールスター戦を含めた計8戦中5勝という輝かしい成績を残し、ドライバーズ(本山哲/リチャード・ライアン)&チーム(NISMO)タイトルを獲得した。
05年シリーズは、「全日本GT選手権」は「SUPER GT」と名称変更。海外進出を推し進め、またスチュワードを固定するなど独自のルールを採用し、新たなGTシリーズとして生まれ変わることになった。また、予選方式に変更が加えられ、予選1回目の上位が、予選2回目でスーパーラップという1台だけのアタックを行ってグリッドを決定することになり、予選自体も楽しめるようになった。
日産では前年同様3チーム4台が参戦。NISMOでは本山/ライアンのチャンピオンコンビに変更はなく、柳田真孝がGT300からステップアップしてミハエル・クルムと組むことになった。ハセミモータースポーツ、TEAM IMPULも前年同様の体制を敷いた。
また車両は、持ち前の「速さ」に「強さ」を加えたものとなった。04モデルをベースにし、クラッシュなどのアクシデントが起きても冷却系にダメージを与えないよう強度を上げたカウルを採用。さらにドライバーを守るためにドライバー右側のクロスバーに厚手のカーボン板を置いた。もちろんエンジン出力とレスポンスの向上、空力の煮詰めも行われている。

開幕戦、事前の合同テストから好調だったZ勢は、開幕戦・岡山でも#22モチュールピットワークZと#1ザナヴィ ニスモZがフロントローを独占して前年同様の優勝を期待された。しかし#22 Zはスタート直後に他車に接触されコースアウト、代わってトップに立った#1 Zは駆動系トラブルでリタイアとまさかのトラブルに泣いた。そんな中でしぶとい走りを見せた金石年弘/エリック・コマスの#3 G’ZOX・HASEMI・Zが3位表彰台を獲得した。第2戦の舞台は新装なった富士。高地コースによるターボ車の吸気制限を受ける中、#22 Zが2位表彰台と意地を見せた。第3戦セパンでは#1 Zが激しいバトルを制して今季初優勝。しかしその後のレースは重いウェイトハンディのために苦戦を強いられることになった。
第4戦の舞台は、いまだに日産勢の優勝がない“鬼門”のSUGO。しかしブノワ・トレルイエ/井出有治の#12カルソニック インパル Zが堂々のポールポジションを獲得した。ところが、序盤のアクシデントにより2ヒート制となり最初のマージンがなくなったばかりか、第2ヒートのスタートで出遅れ他車にヒットされポジションダウン。さらに#3 Zもマシントラブルでリタイアを喫した。第5戦・もてぎでは、#3 Zこそ他車にヒットされてポジションダウンしたが、#12 Zが3位表彰台、#22 Zが4位、#1Zが6位と後半戦に向けて確実にポイントを重ねていった。

第6戦・富士はまたしてもZに苦しいレースとなったが、#3 Zが4位と意地を見せた。そして迎えた第7戦・オートポリス。常に上位を走行したZ勢は、#22 Zが2位でシリーズ2位に浮上、6位ゴールした#1 Zと共にチャンピオン争いにとどまった。3位は#3 Z、4位は#12 Zと、Z勢が活躍を見せたレースとなった。
最終戦・鈴鹿は雨で周回数が短縮。しかしここでNISMOは序盤にドライバー交代をする作戦を敢行し、結果的にこれが功を奏した。#1 Zは終盤2位に浮上するとトップを猛追。このトップ2台、勝った方がドライバーズチャンピオンというバトルを演じた。しかしわずか1秒5まで縮めたところでチェッカー。ドライバーズタイトルこそ逃したが、NISMOに3年連続のチームタイトルをもたらしたのだった。
GT300のZは1台が増え計3台となった。開幕戦で木下みつひろ/影山正美のベテランコンビが組む#13エンドレス アドバンZがいきなり優勝。さらに第5戦もてぎでは星野一樹/青木孝行の#46Dream Cube’s ADVAN Zが全セッションでトップタイムを奪い、完全優勝を遂げた。また、清水剛/藤井誠暢の#47CCI・リカルデント・ADVAN Zは時おり速さを見せて、若手ドライバーのスキルアップの場となった。