Driver's Talk
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カルソニックインパルZ #12ドライバー ブノワ・トレルイエ「2輪の経験を生かして4輪に」
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「2輪の経験を生かして4輪に」
 元々父がオートバイ好きで、遊びでやってたんです。僕はまだ小さかったんですが、父に一緒に乗せて欲しいって言ってせがんだら、50ccのポケバイを買ってくれました。4歳半でモトクロスのレースに出たら8位になって、父も「ひょっとしたらウチの子はイケるかも?」と思ったらしく、父子で田舎のレースを転々としていました。
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6歳になってからは選手権にも出られるようになって、10歳になった87年にヨーロッパのジュニアカップという60ccのシリーズでチャンピオンになりました。翌年は80ccのクラスにステップアップしなくてはならず、14歳ぐらいの選手に混じってフランスの選手権で3位。ポイントリーダーだったんですが転倒してチャンピオンは取れませんでした。そして翌年はもうひとつ上のクラスに上がったんですが、3つも4つも年上で体格もいい選手が相手で、体力的には全然かなわなかったですね。だから弾き飛ばされたりしてケガもしたし、意識を失うような事故にも遭いました。
 月に2回も病院に通ったり、周囲に同年代のレース仲間もいなくなったし、父と相談して2輪はやめることにしました。12〜13歳のころです。プロ契約の話もあったんですが、学校を辞めなきゃいけなかったし、大きな事故も怖かったし。やめたことに関しては後悔はしていませんね。
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 モトクロスをやめた後、モトクロス時代の仲間と自宅近くのル・マンに遊びに行って、カートにでも乗ってみようかってことになったのが4輪への入り口でした。13歳のときです。とても面白くてトップ10のタイムを出せたんです。その後は95年(18歳)にフォーミュラ・キャンパスで4輪デビューしました。同期にはDTMのM.ファスラーやJ.コシェ、そして1年先輩には04年チャンプカー(CCWS)チャンピオンのS.ボルディらがいましたが、コシェやボルディは2世ドライバーでいろんなことを知っていました。でも僕は、フランスには4つぐらいしかサーキットはないと思ってたほど、4輪の情報はなかったんです。それが何年か後にプロになるなんて、そして日本に行くなんて絶対に思いもしませんでしたね(笑)。
 モトクロスの経験で今役に立っていること? グラベル走行(笑)。いやそれは冗談だけど、ドライビングでは“バランス”ですね。(監督の)星野さんも言ってましたが、体のバランスセンサーが良く働く人は、2輪で速ければ4輪でもスキーでも速い。4輪で速ければ2輪やスキーでも速いんです。
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 僕と同様にモトクロスから転向した星野さんからは、ウェット路面のときにときどき「2輪の感覚で走れ」とアドバイスをもらいます。モトクロスで大事なのはトラクションのかけ方やアクセルワークばっかりなんです。その鋭いアドバイスで、ハッと2輪時代を思い出して走ることもあるんです。そんな監督が率いる素晴らしいチームにいて、今は夢のような気分です。