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2台のZで史上初のドライバーズ、チーム両タイトルのGT3連覇を狙う 出川 洋
 NISMO監督 ショートインタビュー
今年も2台のZで史上初のドライバーズ、チーム両タイトルのGT3連覇を狙っています。05モデルは昨年10月にシェイクダウンを済ませ、セパンや岡山でのテスト、そして鈴鹿での合同テストと周回を重ねて、セッティングやデータ収集など順調に進んでいます。特に今年からGT500にステップアップした柳田の訓練ができたのは良かったですね。1号車は昨年のチャンピオンコンビなので連続チャンピオンを目指すのは当然ですが、22号車もいつでも優勝を狙えるようになれば、自ずとタイトルは見えてくるように思えます。

昨年はチャンピオンを獲得したZですが、課題はいろいろありました。一番の課題はストレートスピードでした。今年は特にハイスピードコースの富士スピードウェイでの2戦が復活しますから、ここで対等に戦うためにはライバルと同じぐらいのストレートスピードが必要なんですが、エンジンの全体的なパワーアップと空力を煮詰めた結果、まずまずの仕上がりになっています。エンジンは昨年終盤に排気量を10ccとわずかですがアップさせています。


またNISMOでは安全性をより高めることを進めていますが、今年はドライバーシート脇のロールバーを厚さ18mmのカーボンの板で覆いました。これで横からのクラッシュの場合でもドライバーへのダメージは少なくなるでしょう。昨年は接触で冷却系のパーツが壊れたりして戦列を離れなければならないレースがありましたので、その部分の強化、そしてエアロパーツの表皮を頑丈にするなど細かい対策も施しています。

今年のZは、昨年に投入したモデルの改良版です。昨年レースを戦いながらもトラブルシューティングを行ってきたこともあって現在は大きなトラブルもなく、ライバルに対してアドバンテージが多少あると思います。しかしクルマのポテンシャル的には皆似たようなものでしょう。私自身、監督業は2年目ですし、Zも順調ですので、昨年よりは精神的に楽ですね(笑)。トラブルやアクシデントに見舞われないようにして、レースウィークはみんな早く宿に帰れるようにしたいものです。


今年は予選方式が変わって、開幕戦ではスーパーラップ(1台ずつのアタック)が実施されることになります。1回目の予選の上位10台と、2回目の予選で2台、合計12台がスーパーラップに出られるので、午前の予選でそこに残れるのか、どこまでタイヤを使うのか、などいろいろ戦略的にも難しくなるでしょう。お客さんには分かりやすい予選にはなりますね。

それと従来、予選上位3台と決勝のベストラップ上位3台に課せられた10kgのウェイトハンディは、下ろすことができなかったのですが、今年はそれが下ろせるようになりました。昨年までは予選4位を狙って少しでもウェイトハンディを増やさないようにすることもありましたが、今年は各車とも予選アタックから頑張ってくるようになるでしょう。そういう意味でも、予選から注目されるレースになるでしょうね