レース終盤、残り6周となった73周目。クラス3の2位を走行していた#33 Zの幸内が荒れた路面でハーフスピン。ここに3位の#83 NSXが追いついた。翌周の200Rで2台は並びスプーン進入で逆転。しかし幸内も離されることなくピタリと#83 NSXの背後につけ76周目の2コーナーでインをついて並びS字で再逆転を果たす。これで勝負がついたかに思われたが、最終ラップのメインストレートでまたもや#83 NSXが並び、わずかにリードしたまま1コーナーへ。しかし2台のラインはクロスして2コーナーまでにまたもや#33 Zが前に出た。何度も仕掛けた#83 NSXだったが、最後まで#33 Zが抑えて0.188秒差で逃げ切り2位でチェッカーを受けた。
今回、クラス3にもう1台Zがエントリー。C-WEST LABからエントリーした#9 Zは、S耐デビューとなる加納、池之平と2年前の十勝24時間以来の参戦となる塩渕のトリオでスポット参戦。また開幕戦でクラス優勝、昨年最終戦から連勝中の#33 Zの伊橋勲は急な用事でスケジュールが合わず、04年にZをドライブした幸内をピンチヒッターに起用した。#23 Zは今回、尾本直史が乗らず谷口を起用した。
19日のフリー走行はすべてウェットコンディションで、どのチームもドライセッティングの確認ができないまま、20日の予選を迎えることとなった。予選に出走したのは41台(クラス1は9台、クラス3は12台)。明け方まで降った雨は上がり、
コースコンディションはセミウェットながら各車両が走行を重ねるごとにコースは乾いていった。このドライバー予選では日産車のドライバーは全員基準タイムをクリア。午後のグリッド予選は風は強いものの晴天となり完全ドライコンディションとなり、#3 Zの影山がクラス1の5位につけた。クラス3では、#23 Zの山田がNA車最上位となる3位、#33 Zの大井が5位、#19 Zの小林が8位、#9 Zの塩渕が9位につけた。
21日は朝から雲ひとつない五月晴れ。決勝直前には気温27℃/路温37℃まで上がった。13時35分に300マイル(約480km)82周の決勝レースがスタート。スタートドライバーは#3 Zが影山、#23 Zが山田、#33 Zが大井、#19 Zが斉藤、#9 Zが塩渕。
3クラスでは、#23 Zの山田が好スタートを決めて2周目に2位、7周目の200Rでトップを奪った。しかし20周目からところどころでスロー走行を始めて21周目に緊急ピットイン。とりあえず給油を済ませて再びコースへ出るが、またもや200Rや最終コーナーなどでスロー走行となり、たまらずピットガレージへ車両を入れた。原因は燃料ポンプの電気系の接続。これを修復して谷口がコースへ戻ったが、大きくポジションを落とすことになった。
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#33 Zの大井は6周目に3位にポジションを上げたが、12周目の2コーナーでバックマーカーに追突、スピンをさせてしまい、左フロントのカウルを破損。28周目にクラストップの#15 RX-7がルーティーンのピットインをしたことからトップに躍り出たが、30周目に接触のペナルティストップ10秒を受けることとなった。それでもクラストップを守って35周で最初のルーティーンピットインを行った。タイヤは交換せずドライバーは大井のままで、クラス2位でコースへ復帰した。
トップを走行する#83 NSXに追いついた大井は、45周目の200Rで並び相手が周回遅れに引っかかったチャンスに逆転してトップを奪回。そして50周目に2回目のピットインを行い、幸内に交代した。幸内は4位でコースイン。上位の車両が2回目のピットインを済ませるとクラス2位に浮上した。59周を終了してクラス3のトップは#15 RX-7、22秒遅れて#33 Zの幸内、さらに4秒遅れて3位が#83 NSX。やがて幸内はじわりじわりとトップとの差を詰めていった。ところが終盤はコース上に砂やタイヤかす、パーツなどが出るなどコンディションは荒れ、さらにオイルも出て、特にデグナーカーブの1個目ではコースアウトする車両が続出した。
73周目のデグナーで幸内はオイルに乗ってハーフスピン。これでトップとの差は18秒となり、3位との差はわずかに1秒。直後から冒頭のバトルが演じられることになったのだった。
#9 Zは、塩渕が30周目、最初のルーティーンピットまでに他車のルーティーンピットもあり2位までポジションを上げ、これを加納が55周まで引き継ぎ、最後は再び塩渕に交代。2回目のピットではタイヤを交換せず、
表彰台こそ逃しはしたが大健闘の4位ゴールとなった。#19 Zは斉藤が序盤の12周を担当して、タイヤ交換をせず輿水に交代。42周で2回目のピットインを行い小林が5位までポジションを上げた。しかし終盤にデグナーでオイルに乗って飛び出し、このときタイヤを傷めたのか左リアタイヤがバースト。チェッカー直前にピットインしてタイヤ1本を交換し7位でゴールした。また修復なった#23Zは谷口が後半の45周を走行し10位でゴール。貴重な1ポイントを加算した。
クラス1の#3 Zは影山が5位とポジションをひとつ上げ、最初のルーティーンピット直前には2位まで浮上。35周目にピットインして青木に交代した。しかし40周目の1コーナーでコースアウトを喫し、このときに右リアタイヤがスローパンクチャーとなったのか、42周で再びピットインしてタイヤを交換して給油。このまま最後までドライブして6位でゴールとなった。
幸内秀憲
(#33「トータルスポーツings Z」/クラス2位)
「終盤はデグイチ(デグナーカーブの1個目)や他でオイルに乗ってハーフスピンをしてしまったのでNSXに追いつかれてしまいました。でも抜かれるわけにはいかないと思っていました。2コーナーでもオイルが出ていたので、ちょっと無理をしてしまいましたが、相手も良く見ていてくれました。
優勝は果たせませんでしたけど、ペナルティをとられて2位なので、代打の役目は何とか果たせたかなと思います」
大井貴之
(#33「トータルスポーツings Z」/クラス2位)
「連勝は途切れたけど、またやり直せばいいでしょう。(幸内は)急きょ来て乗ってもらったんだけど、いい仕事をしてもらったと思います。中盤、NSXとのバトルはずっと狙っていたんだよね。ペナルティは混雑している中の2コーナーで当ててしまい申し訳ないことをしてしまった」
塩渕誠二
(#9「ハウスコンサルタントADVAN Z」)
「先週40℃の熱を出して1週間寝ていたのですが、2スティント行きました。体力的には全く問題ないです。完走を目標にしていたので4位は上出来。表彰台は次の目標にします。来年はフルシーズン参戦したいですね」