ゴールまで残り10周を切ったころ、クラス3のトップを走行していた#15 RX-7が2回目のルーティーンピットイン。ドライバー交代もタイヤ交換もなしでガソリンを20リットル給油する間に、2位の#33 Zの伊橋がコントロールラインを通過。既にZは予定どおり2回のピット作業を終えており、あとは逃げきるだけ。そして3秒810の差でクラス優勝のチェッカーが受けた。昨年の最終戦で初優勝を飾ったこのコンビが開幕戦を制したのだった。
今年のS耐はいくつかのルール改正が行われたが、クラス3のZにとって最も影響が出そうな点は、全車に2回のピットインが義務付けられたこと。ターボパワーで1発の速さがウリのRX-7に対し、Zは燃費の良さが身上。ピットインが1回で済むレースでも、もう1回のピットイン(ピットでエンジンを切ることが義務付け)をしなければならないのだ。
22日の公式予選。ターボのブースト圧を上げたRX-7が有利な中、#33 Zの大井がコースレコードとなる1分55秒266でクラスポール(総合7位)を獲得した。#15 RX-7を挟んでディフェンディングチャンピオンである#23Zの山田が3位。
#19 Zの小林は8位につけた。またクラス1では#3 Zの影山がクラス4位とまずまずのポジションにつけた。
23日は前日同様朝から好天。12時53分に100周、約406kmの決勝レースがスタートした。オープニングラップ、#33 Zの大井はスプーンコーナーまでに3台にかわされクラス4位までドロップ。代わってトップに立った#15 RX-7を#23 Zの山田が追い、4周目には逆転してトップを奪った。しかし電気系のトラブルのためにエンジンがばらつき始め、12周目に#14 RX-7にトップを奪われてしまった。さらにヘアピンコーナーで#14 RX-7に#23 Zが追突。2台は応急処置のためにピットインして大きくポジションを落としてしまった。
これで#15 RX-7が再びトップに立ち、#33 Zが2位に。ところが予想以上に路面温度が高く、#33 Zのタイヤ内圧が路面にフィットせずペースが上げられない。27周と早めのピットインをしてタイヤを交換して給油も済ませた。これで#33 Zは8位にまでポジションダウンを喫することになった。
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レースの折り返し点に近い44周で#15 RX-7がピットイン。他の車両も最初のピット作業を済ませたこともあり、これで#7 RX-7がトップ、#33 Zが2位。63周で#33 Zの大井がピットイン。残りを伊橋に託した。このタイミングで#15 RX-7が三度目のトップに。2台の差は30秒ほど。#15 RX-7はまだあと1回のピットインを残しているが、伊橋としてはできるだけその差を詰めておきたいところ。
そして89周目に#15 RX-7が2回目のピットインをしている間に、伊橋が逆転、トップに立った。「ピットからの無線で状況は分かっていたのでミスをしないよう心がけました」と言う伊橋は、そのままチェッカーを受けたあと、プラットフォームに車両を寄せてピット前を通過。スタッフが歓喜の渦に包まれた。
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#19 Zは輿水から斉藤、さらには小林につないでクラス6位でゴール。また#23 Zは山田、尾本とつないで10位でチェッカーを受け、貴重な1ポイントを獲得した。
いっぽうクラス1の#3 Zは序盤に影山がポルシェやランサーを相手にバトルを演じてスタンドを沸かせた。2周目に3位に浮上した影山だったが、路面温度の上昇にタイヤのタレも早く、早目の21周でピットインを済ませ青木に交代。青木は総合トップを走る#1ポルシェの前、クラス6位でコースに復帰したが、ポルシェを寄せ付けない走りを披露。56周目には4位までポジションを上げた56周目に2回目のピットインを行い、再び影山にバトンを託した。影山は最後まで諦めず走行を重ねたが、トップ3に追いつくには至らず4位でゴール、惜しくも表彰台を逃した。
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伊橋勲
(#33「トータルスポーツings Z」/クラス優勝)
「#15RX-7との位置はピットから聞いていましたから、交代してからはタイヤを労わって後半に備えました。逆転してトップになってからは10秒近いマージンがあったので大丈夫、守れるとは思いましたが、最後のスプーンコーナーでエンジンが(ガス欠状態で)ブツブツといったときはちょっと焦りました・・・。」
大井貴之
(#33「トータルスポーツings Z」/クラス優勝)
「予選はなんだかうまくいったよね。路面のμが低いこのハイランドでZの良さをうまく引き出せたと思ってます。スタートして最初の周はかっこ悪かったけど、このコースは99年にS耐で初優勝した(クラス4のシビック)ゲンのいいコースだし、勝つのは本当にうれしいね」