Course Guide
 ニュル24時間は、グランプリコースとノードシュライフェ(北コース)をつないだコースで開催される。今年は、グランプリコースの1コーナーから回りこむ“メルセデス・アリーナ”は使用されずショートカットする(01年までのコースレイアウトとほぼ同じ)ので、25.378kmのコースとなる。
  今年で5回目の参戦となる田中哲也選手に複雑なノードシュライフェ(北コース)を解説してもらおう。
「僕はこれまで350ラップぐらい走ったんですが、それでもまだ完全には攻めきれていませんね。というか攻めきってしまったら危険だと思います。オールドコースの難しさは、まずスピードが高いこと。アップダウンも多く横のブラインドコーナーはもちろん、縦のブラインドもあります。ブレーキに対してはそれほど厳しくはないのですが、サスペンションやタイヤには過酷ですね。レースはいかにミスなく走りきるかがとても大事です。GT-Rはどんなコンディションでも対応できるクルマだと思います」
オールドコースに入って左に曲がってから坂を一気に下りますが、下りきったところのS字への進入は、ウェット路面だと急にグリップが変わるんです。まるでアスファルトから氷の上になるように。これは日本では経験できないことです。
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最初のジャンピングポイントは5速で240km/hぐらいで走ります。着地してすぐに右コーナーなんですが、上り坂の頂点なので先が全く見えない。ここはニュルの中で2番目に怖いところです。予選では気合を入れて5速全開なんですが、決勝中は手前でブレーキを踏んで飛ばないようにしています。左側にポストはありますけど、前で何が起きているか分かりませんからね。
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4km看板過ぎるとコースは下り始めるんですが、このときにかなり前方を見ておかないといけないです。6速で260km/hに達するので、前でスピンしたり止まっているクルマがあると対処できなくなります。小さい排気量のクルマだとここでトップスピードが出ます。なだらかに左にカーブしているように見えますが、路面は何箇所かうねっています。
この先の5km地点は5速で通過するんですが、僕の一番好きなところ。バンクがついていて鈴鹿のコースになんとなく似ているんです。
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6km地点の、ニュルの中で一番怖いところ。コースは下りきって先は上りになってるんですが、「行こう!」と思ったら6速全開で下ります。縦にGがかかって、GT-Rは底を路面で打ちます。全身の血液も浮く感じです。
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7km地点の手前まで来るとギャラリーが多く、森も開けて、気分的にホッとします。3速に落として通過しますが怖いところも通過し終えて余裕が出てきます。
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鈴鹿のデグナーを逆にしたようなコーナーで、5速で通過します。右側にはギャラリーもいますし、スピードも乗っているので気持ちいいところです。この先の右コーナーは3速で曲がります。そして9km看板の手前まで一気に下る(約3kmで約150mも下る=約50‰)ので耳がキーンとします。僕は毎周ここで耳抜きをします。
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アデナウの町はオーバークロスで通過しますが、ここの手前にはギャラリーも多いです。僕はここを下りきったところ(このあたりがノードシュライフェの中で最も標高が低い)でコースを区切っています。つまりここまでは怖いコースで気合を入れて走るところ。そしてここから先は「頑張って田舎に行く」という感じです。
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76年のF1でニキ・ラウダがスピン炎上した11km地点から12km地点の先は、深い森の中で「田舎」という感じです。ここは結構上っています。ずっと全開で延々加速していく感じがします。実際270km/hまでスピードは上がりますが、前に誰もいなかったら気持ちいいんですけどね。
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カールセルの手前にはニッサンの旗が立っていますが、きっと熱心なファンがいるんでしょうね。コース上にもニッサンのロゴが描かれています。やはり目に入るとうれしいですよ。そして左の大きな木を目標にカールセルのぐるりと回りこんだヘアピンに入ります。ここはバンクがついていて2段になっていますが、下の急なバンクの段を通ります。でもスピードが出ていると底が路面に当たります。
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カールセルを過ぎると急な上りで5速全開ぎりぎりで行けるか行けないかという感じで通過します。そしてその先(Hohe Acht=高度8)は減速しないでも曲がれるコーナーで、ここでスピードを落としすぎないように注意します。
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Hohe Achtを過ぎるとコースが下りながらうねっています。ここだけイン側の縁石に乗ります。ステアリングの舵角は少なく、ストレートの感覚で行けます。ギャラリーも多くなってお客さんを意識しながら走るところです。
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通称ギャラリーコーナーへはリアを流しながら降りて行きます。アンダーステアを出しなくないところですね。ここはライン取りとリズムに気をつけます。
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2番目のジャンピングポイントですが、ここは下りながらジャンプしてブレーキという難しいところで、着地時にはなるべく空転させないようにします。だから飛びながらブレーキを踏んで、着地して右コーナーという走り方をします。なるべく飛ばないようにしているんですが。
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2番目のジャンピングポイント先の右コーナーが“ヤスコーナー”(00年に菊地靖選手がクラッシュした)で、この17km地点のライン取りが18km地点までのスピードに影響します。ヤスコーナー先は急に下る3番目のジャンピングポイント。コースが左下に曲がっていて先が見えない。着地のときは斜めになっていて迫力あるところです。この先は縁石の高さとライン取りで難しいセクションです。
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通称“セカンドカールセル”には、ファルケンの旗が出てるんですよね。ここのバンクはスピードが高いです。この付近は田園風景という感じです。
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最後の右コーナーはアンダーステアが出やすいところ。ストレートでスピードを上げるためにアクセルを緩めてはだめです。いつもポイントを決めて走っています。ここは5速で立ち上がります。
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GT-Rではここが最高速度の出るところでストレートスピードは290km/h近くまで行きます。橋の下は進入のところがバンピーなのでちょっと怖いですね。最後のシケインは上下にうねっていて、ブレーキングの際の不安定さがあります。ここは大事故もあるし難しいですね。5速から3速に落として通過するんですが、はぁ終わったって感じでホッとします。
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