Circumstances
世界一の草レースに今年もスカイラインGT-Rが挑む!
ニュルブルクリンク24時間レースはとにかくすごい!
コースがすごい!1周20kmを超える山間の高速コースを走る
参加台数がすごい!一度に200台を超えるレースカーが競う
3:観客がすごい!キャンプをしながらレースを楽しむギャラリー数は20万人
1:コースがすごいニュル24時間!
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ニュルのサーキットができたのは1927年、つまり昭和2年のこと。昭和2年といえば、日本で初めて地下鉄(東京・上野〜浅草)が開通したころ。日産自動車の前身である「自動車製造株式会社」が誕生する6年も前のことだ。そんな時代に第一次世界大戦の失業者対策とはいえ、山岳地帯にレーシングコースを作ってしまった。さすが自動車先進国ドイツ。
北コース(ノードシュライフェ)は、現在も当時のままの雰囲気を残しながら存在する。高低差実に300m、コーナーの数160以上と言われ、左右のブラインドコーナーはもちろんのこと上下のブラインドコーナーまで存在する。しかもハイスピードコースで、スカイラインGT-Rでは300km/hまで達するほどだ。
このノードシュライフェは普段は開放され、通行料金を払って自分のクルマやバイクで1周することができる。この1周の間には世界のありとあらゆる道路の悪条件が凝縮されているとも言われ、このために自動車メーカーが市販車のテストコースとして利用することも多い。スカイラインGT-RもR32のころからノードシュライフェでテストを繰り返してきた。ここはいわばGT-Rの“聖地”でもあるわけだ。
2:参加台数がすごいニュル24時間!
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 ニュル24時間レースにはなんと200台を超えるレースカーが同時にコースを走る。今年も既に230台がエントリーされている。参加車両は、GTレベルからグループA、改造範囲の狭いグループNまで多種多様。最近こそみんな真面目になってきたが、数年前までは60年代の車両やウケ狙いで1BOX車で参戦するなど、お祭り的な要素も多かった。中でも参加が多いのは、ポルシェ911、BMW M3、ホンダ・アコード&シビック。改造範囲や排気量によっていくつものクラス区分がなされているが、最近はディーゼル車、ハイブリッドカー、オートマ車などのクラスも存在する。
 参加車両が多いので、15時スタートのためにお昼過ぎからコースインが始まる。各車手押しで所定の位置へ移動するのだが、チームごとにいろんな出し物を仕掛けてくる。サンバのダンサーやチアリーディング、おそろいの衣装を身にまとったり、巨大な着ぐるみがいたり……。
 決勝レースは230台もの車両が一気によーいドンでスタートを切っては危険。だから予選後に参加車両は3つのグループに分けられて、グループごとに約3分の間隔をあけてスタートを切っていく。ピットは日本のように1ピットあたり1台という決め事はなく、ひとつのピットを6〜8台ほどで使用する。給油も各ピットに1つだけある、普通のガソリンスタンドにあるような装置を使う。給油のためのピットインがだぶった場合も、先にピットインしていた方が優先。たとえ速いクルマであっても先に給油している車両があれば、じっと終わるのを待たなければいけない。
3:観客がすごいニュル24時間!
 ニュル24時間を楽しむのはレース参加者だけではない。テストレースの始まる木曜日から日曜日までにサーキットを訪れるファンは、毎年延べ15万人以上。昨年は雨にもかかわらず20万人をオーバーした。そのほとんどがキャンピングカーを持ち込んでオートキャンプをしながらレースを楽しんでいる。毎年決まったお気に入りの場所に陣取って、いつもの仲間とビールを飲みながらレースを観戦する。もちろん用意した肉をジュージュー焼きながら! だからコース上にも煙や匂いが流れていき、薄いもやがかかったような状態となる。
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 気合の入ったファンたちは、コースサイドには自分たち専用のやぐらを組んで、応援するメーカーの旗を立てる。そしてやぐらの上から応援する車両が通過するたびにエアホーンを鳴らす。おまけにあちこちで、大音響のロックやポップスがかかっていて、まるで昔のディスコ状態。純粋にレースを楽しむというより、イベントを一緒になって楽しんでいるという具合だ。
 ニュルのコース上にはいろんな色で応援の文字やメーカーのマークが書かれている。これはもちろんファンの仕業だ。決勝レース前のフォーメーションラップでは、なんと一昨年からファンがコースサイドに降りてくるようになった。
 ニュル24時間の観客は、そんなマニアックなファンばかりというわけでもない。こぎれいな格好でスタートをグランプリコースの近代的なスタンドで見物して、博物館やみやげ物屋をはしごしてそのまま帰ってしまう家族連れもいる。彼らはゴールのときに再び現れて、満員のスタンドから盛んにエアホーンを鳴らす。
 24時間が過ぎてチェッカーフラッグが振られて、それから最後の車両がゴールするまで約10分。同じチームのクルマが一団となったり、ストップしたクルマを他の車両が押してきてゴールしたり、フィナーレはいつもほほえましい。