02年S耐最終戦は、真っ白な雪をいただいた富士山をバックに、富士スピードウェイで開催され、48台の車両が参加した。ニッサン車は、クラス1に5台のスカイラインGT-R、クラス3に2台のシルビアがエントリーした。今回クラス1では、ポイントリーダーの#3エンドレスアドバンGT-R(木下みつひろ/青木孝行)が4位以上でゴールすれば、#1FALKEN☆GT-R(竹内浩典/田中哲也)が優勝してもチャンピオンを獲得する。
公式予選は9日の14時15分から行われた。晴れ/ドライというコンディションながら、風が冷たく気温は9℃と寒い。開始20分を過ぎ#1GT-Rがアタックラップに入ったころ、コース上でストップしてしまった車両があり赤旗中断。排除後、改めて18分間の予選となった。再開早々#1GT-Rの田中が、数台の車両に引っかかりながらもコースレコードとなる1分33秒910を出してトップに立った。直後、#3GT-Rの木下が1分34秒078、さらにクリアラップを探して1分33秒961まで詰めるが逆転はならず。「まさかこのタイムでトップを取れるとは思わなかったけれど、やはりうれしい」と田中。
また#19 JMCダンロップGT-R・ED(輿水敏明/吉富章)は3位、S耐初参戦となる#63 B-1アンドLEYJUN GTR(OSAMU/玉中哲二)は4位(総合10位)、今季S耐初参戦となる#16 M’s DUCKHAMS GTR(粕谷俊二/池谷勝則/酒井美晃)は5位(総合14位)。クラス3では、#48アイエーテックTARGET(中村啓/小原健一/大塚英一)が10位(総合38位)、#85 ERG・BRIG・S15(宮口幸夫/鈴木ひろし)が7位(総合26位)となった。
4時間の決勝レースは12時19分にスタート。天候はレース観戦には絶好の秋晴れで、気温も17℃と前日に比べ暖かく、3万7300人のファンがFISCOに詰め掛けた。スタート直後の2コーナーで、#63GT-RのOSAMUは後続のRX-7との多重クラッシュであっという間にリタイア。また#16GT-Rの粕谷もエンジントラブルのため3周でピットイン。早々と優勝争いはシリーズレギュラーの3台に絞られることになった。トップ争いは、#1GT-Rの田中と#3GT-Rの木下によるテールtoノーズのスリリングなバトルが展開。そして14周目に#3GT-Rが前に出るとじわじわとその差を開いていった。
4時間レースで燃費的に3回ピットインが必要なGT-R勢は、約1時間でルーティンのピットワークを予定。そして1時間が経過した37周終了で#3GT-Rがピットインして青木に交代。また3位の#19GT-Rも吉富に交代。#1GT-Rは翌38周にピットインして竹内へ。このピットワークで前に出た#1GT-Rだったが、#3GT-Rもすぐに追いつき再びバトルが展開された。59周目にようやくトップを奪った#3GT-Rの青木は、またリードをじりじりと広げていく。そして2時間が経過した74周で今度は先に2位の#1GT-Rがピットインして田中に交代。2周後に#3GT-Rもピットインして木下に交代するが、左フロントホイールのナットがなめてしまい交換に時間を要して1周以上の差がついてしまった。このころ3位の#19GT-RがAコーナーでクラッシュ。これは右リヤホイールのボルトが折れホイールごと脱落したためだった。
3回目のピットワークは2台ともスムーズに終了。終盤には100Rでクラッシュした車両があり、そのためにセーフティカーが導入されたが、上位に大きな変化はなく4時間のレースは終了。#1GT-Rが今季3勝目を挙げたが、2位ゴールの#3GT-Rがチャンピオンに輝いた。
なおクラス3では、#85シルビアがドライブシャフトやブレーキなどさまざまなトラブルを抱えながらもチャッカーを受けたが、周回数が足りずに完走扱いとはならず。#48シルビアはミッショントラブルに続きエンジントラブルのためにリタイアとなった。