Sunday May 26, 2002
第86回 インディ500決勝
インフィニティ、85周にわたってレースをリードし
速さを見せつけるもポティウムならず、5位入賞

肌寒い朝を迎えたが、インディアナポリス・モータースピードウェイ上空には青空が広がり、午前11時のスタート時刻が近づくとともに気温もどんどん上昇していった。

コース上には厳しい予選を勝ち抜いた33台のマシンとドライバーたちが並び、どこを見ても隙間の無いグランドスタンドの観客たちの熱気も徐々にヒートアップしてゆく。

今年は昨年の連続多発テロの影響もあり、決勝前のセレモニーも例年にくらべ静粛な雰囲気で進められたが、おなじみの「Lady and gentlemen, start your engines」 の合図とともに40万人で埋め尽くされたインディアナポリス・モータースピードウェイのボルテージは最高潮に達した。

レースは序盤からポールポジションのブルーノ・ジュンケイラ(No.33チップガナッシレーシング)と2番手グリッドのロビー・ビュール(No.24ピューレックスD&Rレーシング)が一騎打ちを展開する。

29周目、クラッシュのために最初のコーションが出され各車相次いでピットイン。コースにはインフィニティを駆るルーキーのトーマス・シェクター(No.52レッドブル・チーバーレーシング)がトップで戻っていた。シェクターはその後一時トップを譲るものの、ふたたび巻き返し、ピットストップのタイミングで順位を下げる以外は順調にラップを重ね、後半では完全にトップをキープ、一時は12秒と言う大差で後続を引き離しにかかる。

しかしレースも残すところ27周、シェクターはマシンのバランスを崩しコンクリートウォールに単独クラッシュ、残念ながらそのままリタイアとなってしまう。

シェクターのクラッシュによるイエローコーションで、5位を走行するエディ・チーバーJr.(No.51レッドブル・チーバーレーシング)はトップ勢に肉薄、リスタート後も前を走るマシンを強力にプッシュするが、周回遅れのマシンをかわす際にコンクリートに後輪をこすってしまい、それ以上のペースアップは困難な状況にあった。

レースは残り2周でローラン・ルドン(No.34マイジャック・コンクエストレーシング)のクラッシュによるイエローコーションが出され、トップを走行していたエリオ・カストロネベス(No.3チームペンスキー)がそのままチェッカーを受け、インディ500、2連覇を果たした。ルドンは左足を負傷したため、救急車でメソジスト病院に搬送された。

日産インフィニティ勢は、エディ・チーバーJr.の5位を最高に、ロビー・ビュールが16位、服部茂章が20位、ローラン・ルドンが22位、マックス・パピスが23位、サラ・フィッシャーが24位と言う結果になった。

後半までトップを快走していたトーマス・シェクターはクラッシュに終わったものの、200周のレースのうち85周をリードして最多ラップ賞を獲得。さらにレース中のファステストラップとなる時速226.499マイル(362.4キロ)を記録、優勝こそ逃したものの日産インフィニティエンジンのポテンシャルの高さを改めて証明。そのパワフルな走りを40万人の観衆に大きくアピールした。




ベルナルド・デュド(インフィニティ・モータースポーツ、インディ・レーシング・プログラム・マネージャー)
「今日のインフィニティ・エンジンのパフォーマンスには大満足です。トーマスは大活躍で、インフィニティ・エンジンで85周もトップに立ちました。エディが5位に入賞できたのもすばらしかったです。今回7台のインフィニティ・エンジン搭載車が出場しましたが、どのマシンもエンジンの調子は良かった。IRLの残りのシーズンでもこの調子が続くと思います」

エディ・チーバーJr.(No.51レッド・ブル・チーバー・レーシング)
「みんなインフィニティ・エンジンは途中で壊れるよなんて言ってたけど、実際、僕達のエンジンは全く非の打ち所がなかったと思う。7台とも何ら問題は無かったのです。今日このサーキットで最高のエンジンだったと思います。トーマスのアクシデントは本当に残念でした。彼はとにかく速かった。アル(・アンサーJr.)に何があったのかはわかりませんが、僕が彼の後ろにつくたびに、彼が減速するのに巻き込まれて、僕も順位を落としてしまいました。3位を逃したのはそのせいです。ペンスキーとカストロネベスはよくやったと思います。僕は、今日は勝てなくてがっかりしているけど、明日の朝までには、気を取り直していると思います。これまでの努力は、IRLチャンピオンシップの残りのラウンドで報われることになるでしょう」

服部茂章(No.12 ブラッドレー・モータースポーツ)
「まず最初に完走できてうれしい。序盤は、リアのグリップが全然無くて氷の上を走っているような感じでした。何度と無くスピンしそうになりましたが、何とかマシンをコントロールして我慢の走りを続けようと努力しました。その後はピットストップのときにシャシーアジャストをして、マシンバランスの改善を試みて、3回目のストップからはようやくバランスがよくなってトップ勢と同じペースで走ることができるようになりました。もっと早くからこのバランスを得ていれば、日産インフィニティエンジンのパワーもあって、より上位の結果を狙えたと思います。今回は、予選のトラブルから始まってインディ500の難しさと、その偉大さを改めて痛感しましたが、最終的にはいいペースに走れて完走につなげることができ、自分としても納得できるレースをすることができました。これも、いろいろと応援してくれたファンの皆様、スポンサーの皆様のおかげです。ありがとうございました」

サラ・フィッシャー( No. 23 チーム・アレグラ・ドレイヤー&ラインボルド・レーシング)
「とても長いレースでした。私の無線が20ラップ目くらいから壊れてしまって、ピットとの交信ができなくなってしまったんです。12秒かそこらのピットストップ時の手信号しかコミュニケート手段がなくなってしまいました。レース終盤にはやっと回りのクルマを追いかけることができたのですが、もう時は遅すぎました。今年の5月という月は私にとってかけがえのない経験となりました。こんな素晴らしいチーム、ファーストクラスのクルマに恵まれるなんて。スポンサーさんたちも含めたこんな素晴らしい環境で、また仕事がしたいです」

トーマス・シェクター(No.52レッド・ブル・チーバー・レーシング)
「レースは良かったと思います。長い間トップを走っていて、全てがうまくいっていました。インフィニティ・エンジンは今日、本来の性能を発揮できたと思います。始めから終わりまで好調でした。アクシデントは本当に残念でした。マシンを全くコントロールできなくなって、壁に突っ込みました。何が起こったのか全くわかりません。チームには何て言ったらいいのか。レースは良かったけど、最後のラップまでトップを走りたかったです」

86th INDIANAPOLIS 500 RESULTS
Rank Car Driver C/E/T Lap Difference Gap Avg. Speed Time Speed Time Speed Lap
1 3 Castroneves, Helio D/C/F 200 Leader Leader 166.499 86.3108 104.274 40.0944 224.470 152
2 26 Tracy, Paul D/C/F 200 0.0376 0.0376 166.799 71.6421 125.624 40.0928 224.479 134
3 21 Giaffone, Felipe G/C/F 200 0.1285 0.0909 166.780 70.5878 127.501 39.8209 226.012 145
4 44 Barron, Alex D/C/F 200 1.4037 1.2752 166.477 87.0327 103.409 40.3807 222.879 153
5 51 Cheever Jr, Eddie D/I/F 200 2.4549 1.0512 166.461 84.6984 106.259 39.9531 225.264 21
6 20 Hearn, Richie D/C/F 200 3.2022 0.7473 166.450 85.0789 105.784 40.1120 224.372 124
7 39 Andretti, Michael D/C/F 200 3.5895 0.3873 166.444 83.0479 108.371 39.7555 226.384 144
8 31 Gordon, Robby D/C/F 200 6.1206 2.5311 166.405 76.8700 117.081 40.0505 224.716 126
9 9 Ward, Jeff G/C/F 200 7.5654 1.4448 166.383 72.1931 124.666 40.3642 222.970 123
10 6 de Ferran, Gil D/C/F 200 28.5425 20.9771 166.061 84.9353 105.963 40.1173 224.342 109
16 24 Buhl, Robbie G/I/F 198 2:10.3112 2:10.3112 164.750 74.4463 120.893 39.9199 225.451 101
20 12 Hattori, Shigeaki D/I/F 197 2.7715 2.7715 163.944 81.4036 110.560 40.2118 223.815 144
22 34 Redon, Laurent D/I/F 196 4 laps 1 lap 165.079 41.6500 216.086 40.3969 222.789 158
23 53 Papis, Max D/I/F 96 2:34.0886 2:34.0886 162.733 83.2615 108.093 40.0239 224.866 63
24 23 Fisher, Sarah G/I/F 196 2:37.7908 3.7022 162.677 81.1203 110.946 40.4934 222.258 69
26 52 Scheckter, Tomas D/I/F 172 28 laps 14 laps 170.474 40.8615 220.256 39.7353 226.499 20
NOTE : O=Oldsmobile I=Infiniti D=Daralla G=G-force F=Firestone

Copyright © NISMO All Rights Reserved.