肌寒い朝を迎えたが、インディアナポリス・モータースピードウェイ上空には青空が広がり、午前11時のスタート時刻が近づくとともに気温もどんどん上昇していった。
コース上には厳しい予選を勝ち抜いた33台のマシンとドライバーたちが並び、どこを見ても隙間の無いグランドスタンドの観客たちの熱気も徐々にヒートアップしてゆく。
今年は昨年の連続多発テロの影響もあり、決勝前のセレモニーも例年にくらべ静粛な雰囲気で進められたが、おなじみの「Lady and gentlemen, start your engines」 の合図とともに40万人で埋め尽くされたインディアナポリス・モータースピードウェイのボルテージは最高潮に達した。
レースは序盤からポールポジションのブルーノ・ジュンケイラ(No.33チップガナッシレーシング)と2番手グリッドのロビー・ビュール(No.24ピューレックスD&Rレーシング)が一騎打ちを展開する。
29周目、クラッシュのために最初のコーションが出され各車相次いでピットイン。コースにはインフィニティを駆るルーキーのトーマス・シェクター(No.52レッドブル・チーバーレーシング)がトップで戻っていた。シェクターはその後一時トップを譲るものの、ふたたび巻き返し、ピットストップのタイミングで順位を下げる以外は順調にラップを重ね、後半では完全にトップをキープ、一時は12秒と言う大差で後続を引き離しにかかる。
しかしレースも残すところ27周、シェクターはマシンのバランスを崩しコンクリートウォールに単独クラッシュ、残念ながらそのままリタイアとなってしまう。
シェクターのクラッシュによるイエローコーションで、5位を走行するエディ・チーバーJr.(No.51レッドブル・チーバーレーシング)はトップ勢に肉薄、リスタート後も前を走るマシンを強力にプッシュするが、周回遅れのマシンをかわす際にコンクリートに後輪をこすってしまい、それ以上のペースアップは困難な状況にあった。
レースは残り2周でローラン・ルドン(No.34マイジャック・コンクエストレーシング)のクラッシュによるイエローコーションが出され、トップを走行していたエリオ・カストロネベス(No.3チームペンスキー)がそのままチェッカーを受け、インディ500、2連覇を果たした。ルドンは左足を負傷したため、救急車でメソジスト病院に搬送された。
日産インフィニティ勢は、エディ・チーバーJr.の5位を最高に、ロビー・ビュールが16位、服部茂章が20位、ローラン・ルドンが22位、マックス・パピスが23位、サラ・フィッシャーが24位と言う結果になった。
後半までトップを快走していたトーマス・シェクターはクラッシュに終わったものの、200周のレースのうち85周をリードして最多ラップ賞を獲得。さらにレース中のファステストラップとなる時速226.499マイル(362.4キロ)を記録、優勝こそ逃したものの日産インフィニティエンジンのポテンシャルの高さを改めて証明。そのパワフルな走りを40万人の観衆に大きくアピールした。