第86回インディアナポリス500マイルレース
「ロード トゥ インディ500、 スタートまでの長い道のり」
2002 Indianapolis 500-Mile Race
■「長―い開催期間のインディ500」
世界最大のレースインディ500。40万人近い観客数や桁違いの賞金総額など、どれをとってもそのスケールの大きさをうかがい知ることが出来るが、なんと言っても最大の特徴はその長いレース開催期間だろう。
通常のレースは3日間で行われるが、今年のインディ500は5月5日に「開幕」し5月26日の決勝で終了する。その間なんと22日間のほぼ1ヶ月。そのため、5月中はチームクルーとドライバーはみなインディアナポリスに合宿状態。この理由からほとんどのチームはインディアナポリスに本拠地を構えている。「The Month of May」ともよばれ、5月はインディアナポリスではインディ500の代名詞にもなっているのだ。
その5月を迎えると、インディアナポリスの街中に何台ものペースカーのレプリカが走り回り、建物には国旗とともにチェッカーフラッグがたなびき始める。そこかしこに「Welcome Race Fans」のバナーも張り出され、町中がレーシングモードで盛り上がっている。
■「独特の予選システム」
レースに出場するにはまず過酷な予選を勝ち残らなければならない。インディ500の予選は期間も長くて複雑なシステムになっている。予選だけでも一つのイベントとして成り立っているくらいで、決勝グリッドを獲得するまでの道のりも楽ではない。事実グリッドを獲得するだけでも賞金がもらえ、さらなるスポンサー獲得のチャンスが増えるなどチームやドライバーにとっては予選だけでも相当の労力を費やす大仕事になっている。
それでは、この独特の予選システムを簡単に説明しよう。この予選ルールを覚えることで、インディ500の楽しみ方が倍増することは間違いない。
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グリッドは33台
3列縦隊の11列、合計33台がインディアナポリスでの最大グリッド。
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エントリーはドライバーではなくシャシー
エントリーするのはシャシー。
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予選は3日間
4周の平均速度が採用。
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予選初日の最速者がポールシッター
予選初日の「ポールディ」。ポールポジションの賞金は「10万ドル」。
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予選のながれ
予選アタックは「アテンプト」と呼ばれ、くじ引きの順に出走。
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ハイスピードをマークするためには
1日の中で1番速度が出やすいのは気温が下がる夕方。
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バンプディ、緊張のラスト1時間
予選最終日のラスト1時間はエキサイティングなドラマが展開。
■「決勝までの練習時間はたった2時間」
ようやくグリッドが決まると、今度はレースカーの最終調整に取り掛かる。予選とは違いフルタンクでのロングランに向けたセットアップが施される。しかし、バンプディから3日間は走行を許されず、決勝3日前の木曜日に2時間だけ練習セッションが設けられる。これも昔からの伝統で「キャブレーションディ」もしくは「カーブディ」と呼ばれている。その昔はキャブレターの最終調整日だったためにそのように今でもそう呼ばれている。
■「決勝前の一仕事」
決勝前日の土曜日はスピードウェイから6マイル(11キロ)離れたインディアナポリスのダウンタウンで恒例のパレードが行われる。このパレードだけでも数十万人が集まると言う全米でも3本の指に入る規模のパレードとなっている。街中のいたる通りには仮設のグランドスタンドが建設され、当日にはものすごい人だかりとなる。
■「パトカーの先導でスピードウェイ入り」
決勝日当日は30万人以上の人手でにぎわうインディアナポリススピードウェイ。当然レースウェイに向かう道はどこも大渋滞となる。そこで、早くから仕事があるチームクルーはともかくドライバーどうするかと言うと、インディアナポリス市警のパトカーの先導で信号や渋滞につかまることなくスピードウェイに車で乗り付ける。
このサービスは有料で、インディアナポリス市警にお金を払えば誰でもパトカーの先導を受けられると言う。
■「決勝レースはメモリアルディの前日の日曜日、午前11時にスタート」
2日間の休息の後、決勝日の午前11時にグリーンフラッグが振り下ろされて500マイルレースはスタートする。しかし、3日前のキャブレーションディ以降、一度もトラックを走ることなく、2周のパレードラップと1周のペースラップの後にいきなり前回でターン1に33台がいっせいに飛び込んでゆくことになるのだ。
タイヤもちゃんと温まっているのかも、変更したセッティングも確かめることも出来ずにレースに突入する。
第86回目の開催を迎えるインディアナポリス500マイルレース。5月のこの3週間ほどドライバーにとって長く感じる期間はないだろう。華々しく決勝レースか行われるまでの予選の2週間を知ってこそ、インディ500の決勝グリッド獲得の重みそしてレースウィナーの偉業の大きさを理解することできる。
せひ、今年は予選からのインディに注目して欲しい。
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