決勝レース直前までぐずついていた雨雲は、スタート進行が進むに連れて鈴鹿上空を遠ざかり、まさにローリングが開始される頃にはトラックもドライに変わっていた。
ウェットレースを想定していた各チームは慌ててスリックタイヤを装着し、慌しくスタート準備を行った。そのため、ローリングスタートがスケジュールより7分遅れ、さらにローリングラップが通常より2周多く取られて3周終了後にスタートとなるなど、異例が続出した。
スタートでは、トップの#8ARTA NSXが出遅れたところに#6エッソウルトラフロースープラが踊り出て、序盤のレースをリードすることとなった。
ニスモの2台のGT-Rも好スタートを切った。グリッド8番手からスタートの#22ザナヴィ ヒロトGT-Rは、ミハエル・クルムがスタート後の第1コーナーを4番手で通過。12番手スタートの#23ペンズオイル ゼクセルGT-Rのエリック・コマスが5番手と続き、予選ポジションの不利を一瞬にして挽回する結果となった。
この理想的ポジションをキープしてレースは進行すると思われたが、トップを取った#6が8周目のスプーンコーナーでコースアウト。この混乱で行き場所を失いった#22は、後続車数台に先行を許し、再び挽回を期してレースを続けたが、同じ周回のカシオトライアングルでブレーキング中に後続車にヒットされてスピン。ノーズを先行車にぶつけて、コース上にストップした。
応急処置をするためにピットインしたが、走行に支障がない程度であったため、タイヤ交換し再スタートした。復帰後のポジションは16位。
一方の#23エリック・コマスは、難を逃れて4位から3位にポジションアップ。しかし、序盤のプッシュが影響したかタイヤのグリップが落ち始め、16周目には一時5位に落とし、次周に4位に戻すものの我慢の走行を強いられた。22周目に4番手のままピットインし、影山正美にバトンタッチした。
影山は、各車のピットインが完了した時点で4位をキープ。先行する#37マツキヨZENTスープラをひたひたと追い詰め、終盤の44周目についにキャッチし、3位を奪い取った。その後はミディアムコンパウンドのタイヤを温存し、ペースを守りきってゴール。第4戦富士に続いてポディウムに立つこととなった。
一時16位までポジションダウンした#22だが、15周目には13位に17周目に15位、そして21周目には8位にまで挽回。29周目にピットインした時には7位にまで回復していた。
20秒というクイックなピット作業をへ、バトンタッチしてトラックに出た田中哲也はハイペースで周回し、37周目に9位へ、そして43周目には8位となって49周目のチェッカーフラッグを迎えた。
ポディウムに立った影山正美は、「後半を受け持つドライバーの仕事は、いかにペースを守ってクルマをゴールに運ぶかということ。タイヤも上手に使い、周回遅れにひっかかったり、トラブルに巻き込まれないよう注意することも大事です。その点では今日はうまくいったと思います。」と語った。
エリック・コマスは、「12番手スタートで3位だったので、嬉しいです。良いスタートができたのが一番。正美が硬いタイヤで後半頑張ってくれたのも大きかったです。今日は、父が初来日でレースを見ていてくれたので、喜びは一層です。」と喜びのコメントを残した。