Indianapolis 500 Race
IRL第8戦 Ameristar Casino Indy 200 (Kansas) レース
エディ・チーバーが今季初優勝し、新型35Aエンジンで初勝利!

July 10, 2001



アメリカでのトップオープンホィールレース、インディレーシングリーグ。2001年シリーズはすでに8戦目を迎え、シーズンも後半戦へと突入している。昨年、IRL挑戦4年目にして初優勝を挙げたインフィニティだったが、その初優勝からすでに1年が経過。苦戦のレースが続いていたが、ようやくシーズン半ばでエディ・チーバーとインフィニティが2度目のヴィクトリーレーンに立つ事となった。1周1.5マイルのカンザススピードウェイを200周(480km)で行われるレースで104周をもリード。8人のドライバーによって20回もトップが入れ代わるという。激しいレースの中でもコンスタントにトップグループを走行したエディ・チーバーがファイナルラップで自己ファステストラップをたたき出し、ライバルたちを突き放したのだった。

今シーズン開幕戦、インフィニティは新たなステップを踏み出した。あのルマン24時間を走ったR391に積まれていたエンジンを3.5リッターにダウンサイジングし、インディ用のモディファイを加えた「35A」エンジンをデビューさせることになったのだ。しかし、実際にエンジンが完成し、エディ・チーバー率いる「チーバー・インディレーシング」チームの手に渡ったのはわずかシーズン開幕の2週間前。わずか500マイル(800km)のテスト走行のみで、新しいシーズンを迎えていた。エンジンの耐久性こそは問題なかったものの、頻発する原因不明の電気系トラブルに悩まされるレースを前半戦は強いられてしまう。その後はトップ争いを演じながらも他車のクラッシュに巻き込まれるなどの不運が続き、今シーズンの初優勝はチェッカー寸前のところでお預けとなるレースが2度も続いていた。

インディレース初上陸となるカンザス州。チケットはソールドアウト。7万人の観客で埋まったカンザススピードウェイでインディレーシング第8戦、200周300マイルの決勝レースが行われた。

エディ・チーバーは自己ベストとなる予選2番手のフロントロー獲得。これはインフィニティにとって自己ベストタイの成績。ポールポジションこそ譲ったものの朝のウォームアップセッションでもトップタイムをマークしており、長い距離を走るためのレースセッティングを最優先するEチ−バーにとっては十分なポジション。レース序盤はE・サラザールにリードを許し、30周以上も2番手をひたすらキープするが、これはチーバーにとっては余裕の証拠だった。1週間前にリッチモンドで行われた第7戦。レース終盤でこのサラザールとトップ争いを演じていたのだが、インを差したチーバーにサラザールは強引な幅寄せを行い共にクラッシュというアクシデントがあったばかり。サラザールは後ろを見ないタイプのドライバーで同じ事が起こらないとも限らなかった。しかし、レースはまだ序盤、完成度の高いレースカーとあってじっくり様子を見る余裕がチーバーにはあった。

そして33周目、ついにサラザールをパスしてチーバーがトップに踊り出る。第5戦テキサス以来2レース振りのラップリードだ。ここからしばらくの間はポイントリーダーのサム・ホーニッシュJr.との激しいトップ争いが展開される。1周わずか25秒強のコースを30周する間にコントロールライン上での順位は3回も入れ替わった。それ以外でも時速300キロ以上でのサイドバイサイド、テールツーノーズが延々と続く。その後は給油、タイヤ交換のためのピットストップでやや後退するものの、97周目にはトップに復帰。

昨年のシリーズチャンピオンのバディ・ラジアー、現在のポイントリーダーのサム・ホーニッシュJrらと激しく順位を入れ替えながら終盤にもつれこんだ。レースも4分の3を終えた146周目からはチーバーがトップに立ち、後続を引き離しにかかる。その差は177周目には1.6秒になっていた。単独走行で後続を引き離すということはエンジンパワーのアドバンテージを意味する。しかし、このコースはおよそ50周しか全開走行では燃料のメタノールが持たない。パワーを出すほど燃費は悪化する。チーバーが最後にピットストップしたのは140周目。そのままでは絶対ゴールまで燃料が持たない周回数だったが、ラッキーにもその間にクラッシュなどで18周ものコーションラップがあり、ゴールまでなんとか走りきることができる量の燃料がタンクに残されていた。コクピットのダイヤルで燃料を薄くすることもできるがその分パワーは確実にダウンする。1.6秒は見た目には大きな差だが、20周あまりを守りきるには十分なマージンとはいえない。チーバーにはスマートなドライビングが要求された。しかし、2番手のホーニッシュは着実に差を詰めてきている。残り10周でついにホーニッシュはチーバーを捉えて前に出る。しかし、チーバーは食い下がった。もはや燃料をケチっている場合ではない。すかさずインを差し返すチーバー。しかし、前に出るほどの決定力がない。

残りは5周、4周、3周と徐々にチャンスは少なくなってくる。残り2周となった198周目のターン4、ついにチーバーが隙間をついてノーズをインに差す。21歳の若手ホーニッシュからリードを奪い取った時には、ファイナルラップ突入を告げるホワイトフラッグがチーバーの頭上で振られていた。このラスト1周でチーバーは全てのものを出し切って、1.5マイルを駆け抜ける。このレースでの自己ファステストをたたき出してホーニッシュを突き放した。時速216.241マイルは今回のポールスピードをも上回る。そしてチェッカーフラッグ。1年ぶりの勝利はエディ・チーバーキャリア5勝目、インフィニティにとっては待望の2勝目となった。

「今日は強力な武器を手にしていたんだ、インフィニティという最強の武器をね。これを2年間待ち望んでいたんだよ。ホーニッシュとは抜きつ抜かれつのすばらしいレースができて満足している。ほんとにインフィニティのスタッフを誇りに思う。全てが完璧だった。エンジンは文句のない出来だった。このエンジンはみんなが乗っているインフィニティ市販車をベースにしているんだ。みんなだって手にすることができる。えっ?インフィニティのCMタイムみたいだって? でも言わせてくれ、本当に彼らのすばらしい仕事のおかげなんだ。ものすごく誇りに思う。」

フィニッシュ後のインタビューで、エディ・チーバーの舌のRPMは留まることなく全開で周りっぱなしであった。シーズンも残すはあと5レース。上り調子のインフィニティがあと何回ヴィクトリーレーンに立つことになるのか、勢いに乗るエディ・チーバーとインフィニティの活躍ぶりにこのあともぜひ注目して欲しい。


Race Result
Pos. No. Driver Lap Behind
1 51 Cheever Jr, Eddie 200 Leader
2 4 Hornish Jr, Sam 200 -0.1976
3 11 Beechler, Donnie 200 -0.9779
4 21 Giaffone, Felipe 200 -13.5879
5 91 Lazier, Buddy 200 -14.1032
6 88 Dare, Airton 200 -14.2456
7 14 Eliseo Salazar 200 -14.5777
8 55 AHattori, Shigeaki 200 -14.8016
9 98 Billy Boat 200 -14.8830
10 10 McGehee, Robby 200 -19.1248
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21 24 Robbie Buhl 54 -146 lap

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