GT-R同士の激闘を制し、#1 「MOTUL AUTECH GT-R」が今季2度目の優勝

シリーズチャンピオン争いを左右する第7戦で、GT-R同士の手に汗握る戦いを制し、#1「MOTUL AUTECH GT-R」(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は今季2勝目をマークした。

予選日は晴れていたオートポリスだが、決勝日の空は朝から雲に覆われ、肌寒い一日となった。午後には弱い雨が降り出すという予報も出ていたが、曇り空ながらドライコンディションで決勝レースはスタートした。

スタートドライバーを務めたのはクインタレッリ。スタート時の気温は14℃、路面温度は17℃と、予選時に比べ路面温度が10℃近く下がったコンディションで、クインタレッリはタイヤに十分熱が入るまでの数ラップはトップ集団の中で3番手をキープしていた。GT300クラスとの混走が始まると、上位3台の集団のギャップは開いたり縮まったりを繰り返したが、17周目にトップを走るマシンがGT300クラスに引っ掛かったことで、3台の差が一気に縮まることに。このチャンスを逃さなかったクインタレッリはペースを上げて前のマシンを攻め立てた。クインタレッリのプレッシャーに挙動を乱した2番手のマシンが24周目の第2ヘアピンでコースオフ。これで#1 GT-Rは2位に浮上し、トップを走る#12 GT-Rの追い上げにかかった。#1 GT-Rが2位に上がった時点で、トップを走る#12 GT-Rとの差は4.4秒まで広がっていたが、クインタレッリは#12 GT-Rに比べて速いペースで周回を重ねると、その差をさらに縮め、34周を終えたところで上位陣の中では一番にピット作業へ向かった。チームは41秒という作業時間で松田に交代した#1 GT-Rをコースへと送り出す。これを皮切りにGT500のマシンは続々とピット作業へ向かい、39周目には#1 GT-Rは再び2番手までポジションを取り戻していた。

39周を終えた時点で#12 GT-Rがピット作業に向かったが、充分にタイヤが温まっている#1 GT-Rはここでギャップを縮めるべくハードプッシュを重ね、ピット作業からコースに戻った#12 GT-Rを40周目の1コーナーでオーバーテイク。トップに躍り出た。その後は、タイヤに熱が入ったことでペースを取り戻した#12 GT-Rとの手に汗握るバトルが続く。47周目には、第2ヘアピンで#12 GT-Rが勢いよくインに飛び込んできたが、松田はクロスラインを使ってトップを死守。2台の戦いは周回遅れの車両が絡むたびに白熱していき、最終ラップでもテール・トゥ・ノーズにまで近づくが、要所を抑えきった松田がトップでチェッカーを受け、#1 GT-Rがシーズン2勝目を飾った。


#1 GT-Rドライバー 松田次生
「前半スティントでロニーがすごく頑張ってくれてトップに喰らいついていてくれたので、(交代してからは)何とか抜きどころがないかと考えていました。そのポイントが相手のアウトラップだったので、雨が降ってきて多少のリスクはありましたけど、なんとか相手の挙動が乱れたところに上手く合わせて抜くことができました。ポイント差も縮めて最終戦に臨めますし、このいい流れを最終戦につなげたいと思います。ただ、シリーズ連覇ということを考えるよりも、最終戦で勝つということを考えて臨みたいと思います」

#1 GT-Rドライバー ロニー・クインタレッリ
「今日のレースは、いざスタートしてみると思ったよりもタイヤのたれ具合も少なく、さらに周りのマシンも同じようにグリップダウンしてきていたのでいいポジションをキープすることができました。最後までタイヤも持ってくれたし、いいスティントになりました。チームもいつも通りの素晴らしいピット作業をしてくれたし、次生のアウトラップもすごく良かった。ここまでの良くない流れを断ち切れたことがものすごく嬉しいです」

ニスモ鈴木豊監督
「レース前は不安がありましたが、ロニーが途中からプッシュしてくれて良い位置につけられました。また、次生もうまく抜いてくれたし、その後も懸命にトップを守ってくれました。チームもドライバーも全て完璧な仕事をしてくれました。息の詰まる接戦でしたが、この勝ちは非常に大きいですね。最終戦(の12号車との争い)は、勝った方がチャンピオンというわかりやすいレースとなるでしょう。頑張ります」


#3「B-MAX NDDP GT-R」、作戦も奏功しシーズン2勝目

予選8位からスタートした#3「B-MAX NDDP GT-R」(星野一樹/高星明誠)は、レースの行方を読んでの作戦も功を奏し、シーズン2勝目を獲得した。

#3 GT-Rはオープニングラップでポジションを2つ上げた。スタートドライバーを務めた星野はスタート直後から自身のペースの良さを感じ、前のマシンにプレッシャーをかけながら追いかけていたが、3番手争いを繰り広げる集団に引っ掛かる形でラップタイムを上げられずに周回を重ねることになった。この様子をみたチームは、当初より早めにピット作業に入る作戦を採った。19周を終えたところで#3 GT-Rはピットイン。高星にドライバー交代をして、19番手でレースに復帰した。ロングスティントとなった高星だが、序盤から安定したペースで周回を重ね、他車がピット作業に入り始めると徐々にポジションアップ。前の車両に引っ掛かることもなく自身のペースで走行できたことで上位陣とのギャップも縮め、トップの車両を除く上位集団がピット作業を終えたところで2番手までポジションアップに成功した。41周を終えたところでトップのマシンがピットイン。高星はさらにペースを上げると、43周目の最終コーナーで一気に差を詰め、44周目に入った1コーナーでオーバーテイクしトップに立った。

その数周後、2番手に下がったマシンにトラブルが発生し後退したため、後続との差は大きく開き、背後からのプレッシャーは小さくなったが、まだ残り周回数は多かった。コースに散乱するタイヤかすや、周回遅れの車両などに気を配りながらの走行となったが、高星は大きくペースを乱すことなく最後まで走り続け、第3戦タイに続きシーズン2勝目を飾った。


#3 GT-Rドライバー 星野一樹
「走りはじめからクルマのペースがいいことは感じていたのですが、前の集団に詰まってしまって抜きあぐねていたので、チームが早い段階でピットに入ることを決めてくれました。結果的にアンダーカットに成功し、トップに立てました。タイヤも良かったし、作戦も、レースの展開もかみ合って、2勝目を挙げることができました。ここ数戦でポイントを獲れずにいて、タイトル争いでも厳しい状況になってこのレースに臨むことになりましたが、それでもチーム一丸で意地を見せたかった。今日のレースでシリーズチャンピオンは決まってしまいましたが、この勢いでもてぎに向かい、最終戦をいい形で締めくくりたいです」

#3 GT-Rドライバー 高星明誠
「第3戦タイで優勝してからの数戦、予選でQ1も突破できないようなレースが続いていました。トップにポイントも離されて悔しかったですが、(シリーズタイトル獲得の)可能性が残っている限り絶対にあきらめないんだと決めていました。結果的に今日のレースでタイトルは決まってしまいましたが、2勝目を挙げることができたのは嬉しいです。担当する後半スティントが長くなって少し不安な部分もありましたが、チームの決めた作戦に間違いはなかったです。タイヤもクルマも良かったです。最終戦も頑張ります」

NDDP RACING 長谷見昌弘監督
「予選が終わった時点では、どんなレースになるだろうかと思っていましたが、今日の優勝は、本当に嬉しいです。前の集団に引っ掛かっていたので早めにピットインする作戦に出ましたが、これが良かった。また、タイヤが垂れることも頭の中にはありましたが、周りもタイムが落ちてくる中で、比較的落ち幅が少なかったのも良かったです。いい流れをつかんで最終戦に臨むことができます。最後までこの調子を維持したいですね」