#1「MOTUL AUTECH GT-R」、今シーズン初優勝!

決勝日も、ゴールデンウィークにふさわしい晴天で、富士スピードウェイには5万人以上の観客が訪れ、初夏のGTレースを楽しんだ。

#1「MOTUL AUTECH GT-R」(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、前日の好調ぶりを朝から発揮した。午前9時から30分間行われたフリー走行でもトップタイムを記録。セッションの合間にピット作業の確認も行い、500qの長丁場に備えた。

午後2時15分、レースがスタート。スタートドライバーのクインタレッリは序盤から安定した速いペースで周回を重ねていった。周回遅れが出始めると、その車両の追い抜き処理で多少後続とのタイムが縮まるものの、順位が変動するような場面はない。その差が2秒になろうかという10周目、GT300車両にアクシデントが発生し、レースはセーフティカーが導入されることに。16周目に入るところでリスタートされ、グランドスタンドの観客は再びスタートするバトルに注目した。コントロールラインでは2番手に並びかけられていたクインタレッリだったが、巧みなブレーキングでトップを堅守。その後はひとりハイペースを保ち、39周目までに後続に5秒の差をつけると、#1 GT-Rはドライバー、タイヤ交換のためピットイン。メカニックたちは52秒という作業時間でマシンを再びコースへと送り出した。全車、1回目のピットワークが終了した時点で、#1 GT-Rは再びトップに浮上。この2スティント目でも、背後を脅かされることなく、安定したラップタイムを刻んで周回を重ねた。79周目に2回目のピット作業を行うと、全車がピット作業を終えた81周目には三度目の首位。500qという距離を、最後までハイペースで走り切り、終わってみれば一度もトップを譲ることなく、今シーズン初優勝を決めて見せた。


#1 GT-Rドライバー 松田次生
「朝のフリー走行の状況を見て、今日は12号車と36号車との戦いになるなと感じていました。ロニーがスタートを決めた後も後ろとの差がなかなか離れず、僕のスティントになってもそれは変わらないんだろうなと思っていましたが、ミスしなければ守りきれると思っていました。今回のセットアップとタイヤのマッチングが非常に良かったですね。ピットも素早い作業をしてくれたし、タイヤも最後まで垂れる感じがしませんでした。今回、ドライバーとチームがミスしなかったことが勝因につながりました。GTは1回勝ってからが大変なので、この流れを持続できるよう頑張っていきたいですね。それに、最多勝記録に関して、これで2位に並びました。僕が最多勝を狙えば、ロニーの最多チャンピオン獲得記録も達成できるので、それらをよい目標にして、これからも頑張ります」

#1 GT-Rドライバー ロニー・クインタレッリ
「次生選手も言っていたように、朝はトップタイムでしたがあまりマージンがない雰囲気でした。レースがスタートしてからも、序盤の12号車は抑えるだけで精いっぱいでしたが、ガソリンが減ってマシンが軽くなるにつれて、タイヤを含めたマシンのバランスが良くなってきました。スティントの終盤にベストタイムも出せて、安心できました。次生選手も満タンで踏ん張ってくれたので、僕の最後のスティントは、コールドタイヤでフルプッシュしたアウトラップが特に良かったので12号車の前に出られました。次戦のタイにはウェイトを積んで臨むことになりますが、去年はウェイトを積んでもさほど影響は大きくなかったように思うので、今回のようにいい結果が望めるのではと思います。私は次生の最多勝のため、次生は私のためと、お互いにいい目標にして頑張ります」

ニスモ鈴木豊監督
「昨日"ポールトゥフィニッシュがNISMOのパターン"と言ったので、有言実行できて大変嬉しいです。(ポールトゥフィニッシュは)去年のオートポリス、もてぎ、そして今回と3回目なので、大いに自信となりました。スタッフ、ドライバーみんなが完璧な仕事をしてくれたおかげです。開幕戦は残念な結果となりファンの皆様にはがっかりさせてしまい、申し訳ありませんでした。しかし、今年のNISMOはここからスタートを切り、ポイントを重ねて快進撃できるよう頑張りますので、引き続き応援をよろしくお願いします」


#3「B-MAX NDDP GT-R」、観客総立ちの猛追で今季初表彰台

#3「B-MAX NDDP GT-R」(星野一樹/高星明誠)が、アクシデントをはねのける猛追を見せて、今季初表彰台を獲得した。

スタートドライバーの星野はレース序盤、予選順位の2位を守って周回を重ねた。リスタート後はトップとの差が1秒以内に入り、オーバーテイクのチャンスを探った。26周目にその差が一気に0.2秒まで縮まると、翌周の1コーナーでこれを追い抜きトップ浮上。その後は後続に大きく差をつけ、単独走行に入った。36周目を終えたところで1回目のピットイン。9番手でコースに復帰すると、星野からバトンを受け取った高星はスティント序盤でファステストラップを記録し、ハイペースで前の車両を追いかけた。全車が1回目のピット作業を終えた段階で3番手までポジションを取り戻すと、44周目には1コーナーで1台をかわし、2位まで順位を押し上げた。トップを走るマシンが2度目のピット作業に入ると、少しでも差を縮めるために攻めた走りを見せていたが、65周目に入ったホームストレートでコース上の部品を拾ったのか左フロントのタイヤトラブルが発生。高星はコースをほぼ1周、慎重に走り切ってピットまでマシンを戻した。マシンの損傷はひどくなく、チームは素早い作業でタイヤ交換と給油を終えると、高星からドライバー交代した星野がコースへと戻っていった。コース復帰時点では、#3 GT-Rの順位は8番手だったが、ここから前方のマシンが次々とルーティーンのピット作業に入り、74周目には4番手まで順位を取り戻していた。あと1台かわせば今季初の表彰台だが、前のマシンとの差は20秒以上。しかし、ここから星野が猛追を見せる。周りが1分39〜40秒で走行する中、1分38秒台を連発しながら、15周でその差を10秒以内に縮めてみせた。さらに、レースも終盤の98周目には、ここまで30周近く走行したタイヤでレース中のファステストラップを更新。2位争いを展開していた前の2台に追いつくと、97周目にはダンロップコーナーで1台をパスして3位へポジションアップした。その勢いのまま、98周目には100Rで2位のマシンに並びかけると、99周目のコカコーラコーナーでこれをかわし、2位に浮上。今シーズン初の表彰台を獲得した。


#3 GT-Rドライバー 星野一樹
「嬉しいような、悔しいような表彰台です。最後のスティントでは無線が聞こえず、最初のうちは自分が何位を走っているのか分からない状況でした。サインボードで8番手と知りましたが、前のマシンがピット作業に入れば、表彰台まで届くかもしれないと思って、とにかく序盤からプッシュしました。一時、前とのタイム差がなかなか縮まらずに厳しいのかなと思ったこともありましたが、ピットから長谷見監督がプッシュのサインを出しているのが見えたし、ピットもすごく盛り上がっているように感じたので、そこからはもっとプッシュができました。1スティント目の後半も、他のマシンはタイヤが厳しくなっている様子があったので、もしかしたらこのスティントでも…と考えて走っていたら、その通り、みるみる前が追い付いてきました。その先は無我夢中でしたが、いいバトルができたと思います。レース自体は楽しかったのですが、やはり悔しいです。僕たちが一番速いんだという証明はできたと思うので、次のタイ戦は絶対に勝ちます」

#3 GT-Rドライバー 高星明誠
「前のマシンのクルマがペースダウンしてくるだろうなと思っていて、そのタイミングでプッシュしようと思っていた矢先にタイヤトラブルが起きてしまいました。ただ、ホームストレート上で挙動がおかしくなったことで、ブレーキングで崩れたり、他のマシンにぶつかってしまったりすることなく、さらにマシンにも大きなダメージを与えずにピットまで戻ってこられたのは運が良かったです。あとは星野選手に託すだけでした。表彰台まではポジションを上げてくれると信じていましたが、2位なんて、素晴らしいパートナーと走れているんだと実感しました。GTでの初めての表彰台獲得ですが、勝てたレースなので悔しいです。次は表彰台の一番上で喜びたいです」

NDDP RACING長谷見昌弘監督
「最後のスティントでは、無線でこちらの声がドライバーに届かない状況でした。それで、みんなでサインガードのところで『プッシュだ!』とサインを送って。星野もよく応えてくれました。今回はクルマもタイヤも調子が良くて速く、2人のドライバーも本当に良くやってくれました」