いつもは9月に開催されている富士300キロレースであるが、今年はお盆休み直前の8月に行われることになった。富士スピードウェイとしてはかつて同時期に開催し人気を博していた富士1000キロの再来を期していると思われる。

各地に豪雨をもたらした台風の接近で予選日から雨模様で推移し、ファンの方々の来場が心配されたが、夏休みということもあり家族連れを含めた多くの観客の方々に押しかけて頂いた。またレースは降雨量が刻々と変わり、セイフティカー先導のスタート、赤旗中断、レース再開、セイフティカー導入、そのままレース終了、という目まぐるしい展開となり、2時間弱のレースが2.5時間もかかりチーム、観客共に我慢を強いられながらも見応えのあるレースとなった。中止されてもおかしくないレースで、その時々をギリギリの判断で乗り切った主催者は良い仕事をしたと思う。

レースでタイヤが重要なことはウエット条件でも同じで、ドライタイヤではコンパウンドの選択が悩ましいが、ウエットでは溝の深さと車高が変動要因に加わる。ドライでは重心高を下げる為出来るだけ低い車高で走るが、これでは雨量が増した時に床下が水に浮いてしまいハイドロ現象を起こす。だからウエットではコンパウンド、溝の深さ、車高を適切に選ぶ必要が有り、それらは雨量によって発揮する性能が違うので、降雨量が刻々と変わる場合はほとんど運に左右されることになる。

MOTUL AUTECH GT-R(23号車)はフリー走行時のドライ条件から好調で、難しい条件の中予選、決勝共に2位で終え、ランキングも3位に復活した。これはランキング5位のハンディを考慮するとGT-Rの本来の速さもあるがNISMOのチーム力によるところが大きく、オートポリス戦の優勝にもあるようにここ数年のスランプからNISMOは完全に抜け出たと思われる。

カルソニックIMPUL GT-R(12号車)は予選10位、決勝8位で、ランキング1位との差を縮めてランキング2位を維持した。タイヤ無交換やエンジンの使い方の工夫など上位進出を狙ってもがいたが、結果としてはうまくいかなかった。しかしハンディの重い中ではベストポジションで大健闘である。

S Road MOLA GT−R(46号車)は、フリー走行開始時からエンジンのバラつきやパワステトラブルで満足な走行が出来ず予選最下位であった。決勝はそこから追い上げて上位に這い上がってきたが、降雨量が狙い通りになってこれからという時にセイフティカーが入るという不運で6位で決勝を終えた。ハンディの条件から最強を予想し優勝を狙っていただけに、ハードの責任を持つNISMOとして申し訳なかった。

D'station ADVAN GT-R(24号車)は鈴鹿テストでの好調そのままに、ドライだったQ1はトップと僅差の4位と期待されたが、真逆のウエットとなると力を発揮できなかった。しかしハンディを考慮すると鈴鹿へ向けては良い兆候ともいえる。

GT300のB-MAX NDDP GT-R(3号車)は決勝で2位を走行していたが、天候の変化を待ってピットインをドライバーマックスのギリギリまで遅らせた結果、ライバル他車にいわゆるアンダーカットされ10位で終えた。上位にいただけに他車のピットインに合わせる事も出来たが、天候が思惑通りにならず不運であった。

次戦鈴鹿1000キロは、46号車、24号車、3号車(GT300)で優勝を狙い、12号車、23号車はハンディのきつい最後のレースとなるので、キチンとポイントを重ねたい。

今回は、難しいレースを乗り切った主催者のGTAと富士スピードウェイに☆3つ。

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