ついに新しい規則での2014年SUPER GTが開幕岡山戦を迎えた。

新規則では、エンジンと車体外板の一部の空力部品だけが開発競争を許されるが、基準の車両重量が1020sに軽量化され、ダウンフォースが増え、エンジンの出力も上がったのでラップタイムが従来の記録を3秒近く上回った。

開発領域が狭くなったが競争が無くなったわけではなく、限られた中でさらに熾烈な競争になるということ。それにしても文字で書かれた規則書に沿って開発してきた結果、基になるクルマもエンジンも、開発エンジニア達も違うのに予選1〜2位が0.07秒の僅差だったというのも驚きである。

エンジンは大きな特徴があり、ダウンサイジング(4気筒2000t)、直噴ターボという低炭素社会へ貢献する最新の技術を投入している。今までは8気筒3400tで、燃費を余り気にすることなく馬力競争をしていたが、これからは1時間当たり100s、即ち1秒間に28gの限られた燃料で出来るだけ多くの馬力を捻り出す競争になる。

NISSAN GT-R陣営は昨年来、順調に走行テストを重ね速さも発揮して関係者や媒体の間では優勝候補筆頭に挙げられていた。従ってファンの皆様も大きな期待を持って開幕戦を楽しみにして居られたと思う。しかしながら結果は、予選2、3位、決勝ではカルソニック IMPUL GT-R(12号車)の3位が最上位であった。

この結果は12号車以外のチームが些細な判断ミスや接触事故を起こしたからであって、クルマの速さには十分競争力があることを確認できた。MOTUL AUTECH GT-R(23号車)を例にとると36号車との接触後復帰に手間取り、トップから50秒の差をつけられた。しかし松田選手、ロニー選手が追い上げて7位でゴールした時には31秒差に挽回していたのでトップより19秒速く走れたことになる。しかも接触した際にGT300集団に抜かれたのでGT300を交わすのが1回分多かったのである。

S Road MOLA GT-R (46号車)は予選3位からスタートし一時2位にいたが雨がぱらついた際タイヤ交換の判断ミスを犯し、それが影響してバタバタしてしまい2回の余計なピットインを余儀なくされた。しかし本山選手から引き継いだ柳田選手は本来の速さを発揮し貴重な1ポイントをもぎ取った。因みに23号車や46号車の履くMIタイヤは昨年の開幕戦岡山、最終戦もてぎのように、ここ数年低路温を苦手としてきたが、今年ロニーをして「奇跡が起きた!」と言わしめるほど大きな改善がなされた。だからMIタイヤスタッフの方々の努力に応えられなかったのが心苦しい。

D'station ADVAN GT-R(24号車)は佐々木大樹選手のGT500デビュー戦だったが、タイヤと路温がマッチしなかったのでやや精彩を欠いた。12号車は安田選手が移籍し、その効果で足回りのセットアップが順調に進みテスト中から好調さを維持していた。予選は僅差の2位で決勝もJPが期待通りの速さを見せたが、スタート直後から原因不明の振動に悩まされそれが最後まで解消せずトップを追い込めず3位表彰台に終わった。しかし今年のまぎれもないチャンピオン候補である。

今回はファンの期待に応えられなかったが、開幕戦を終えて今年は皆様に大いに楽しんで貰えると確信した。是非楽しみにしていて下さい。

 

今回は全GT-Rが実力に見合う順位を得られなかったので、☆の評価は無し。

PAGETOP