#23 「MOTUL AUTECH GT-R」、終盤に手に汗握るバトルで3位表彰台

予選を荒らした爆弾低気圧が遠ざかり、決勝日は時おり暖かい日差しが差し込む陽気となった。路面が徐々に乾き始めていく朝のフリー走行では、濡れた路面でも乾いた路面でも#23 GT-Rは速さを見せた。

決勝直前には、路面は完全にドライコンディションに。スタートドライバーのロニーは落ち着いたスタートをきると、序盤から後続との差を広げていった。5周目ですでに3秒の差をつけると、あとは2位以下のペースをチェックしながらタイヤのマネージメントに集中する。レース距離のほぼ半分となる43周目にピットに入るまで一度もトップを譲ることなく周回数を重ねた#23 GT-Rは、ロニーから柳田へとドライバー交代すると、4番手でコースに復帰。前を走る3台はまだドライバー交代をすませていなかったため、すべてのマシンがルーティーンのピットワークをすませると、再びトップに立った。

レース終盤まで首位をキープした#23 GT-Rだったが、タイヤの疲労、さらに一瞬コースを濡らした雨と、GT300クラスの集団に詰まったことでペースダウン。そこへ、2位争いをしていた2台が一気に近づき、77周目の最終コーナーで両側からはさまれるように並びかけられた。スペースがなく、3位に後退した#23 GT-Rは、そのままチェッカーを受け、3位表彰台を獲得した。


#23 GT-Rドライバー
柳田真孝

「路面温度が下がったのとタイヤかすを拾ってしまって一気にペースダウンしてしまいました。(2台が迫ってきたときには)どこからでも来られるだろうなと思っていました。接触はあったけどフェアなバトルができました。ただもう少し粘りたかったです。トップで渡してくれたロニーには申し訳なかったですが、これが自分たちの力なんだろうなと思います。寒い時期にもっとパフォーマンスを出せるようにして、寒くなってからのレースにも備えたいです」
#23 GT-Rドライバー
ロニー・クインタレッリ

「クルマもタイヤグリップもすごく良くて、自分のスティント終盤も、もっと後ろから追ってこられると思ったけど、マージンを保って後半に渡すことができました。マーもすごく頑張ってくれたと思います。レース前の目標が3位だったので、その目標は達成できましたが、ポールポジションからのスタートだったので優勝したかったというのが本音です。開幕戦で表彰台に立ったのが初めてなので、昨年のことを考えると出だしはすごくいいと思います」
ニスモ鈴木豊監督
「残り20周ぐらいのところから一気に気温が下がり、タイヤのレンジと合わなくなってしまってタイムが下がってしまいました。柳田選手がかなり粘ってくれたのですが、ペースを維持することは難しかったです。しかし、ミシュランタイヤと我々の課題であった『気温が低い中での戦い方』というものに対して改善点も見られましたし、いいデータもとることができました。ここから先は我々の得意な時期に入りますが、今回のレースでシーズン終盤戦に向けての自信もつきました。シーズンを表彰台でスタートできたことも良かったと思います」


序盤にトップに立つも苦しいレースに

スタートドライバーを務めた星野は、オープニングラップのヘアピンコーナーで早々にトップに浮上。そのまま逃げ切りを図ったが、選択したタイヤとコンディションが完全にはマッチせず、ペースアップができない。その間に、後方から浮上してきたマシンにアトウッドコーナーで逆転され、11周目に再び2位に戻った。

星野のスティントの中盤は、同じGT-Rを1台含めた4台での2位争いが激しく、30周目までは2位をキープしていたがタイヤの疲労が大きくなり、いったん4位まで後退。41周目にピットに戻り、タイヤとドライバー交代をすませて7位でコースに復帰した。

後半スティントを担当した佐々木は、タイヤを温めながらペースアップを図り、前車に追いつくも、45周目のヘアピンコーナーで前を走るマシンと接触。ピットまでは戻ってきたものの車両に負ったダメージが大きく、リタイアとなった。


#3 GT-Rドライバー 星野一樹
「1周目で絶対に抜いてやるんだと狙っていたので、ヘアピンコーナーでトップに立てたところまではとても順調でしたが、選択したタイヤがコンディションに最適でなかったので、2〜3周目ぐらいから、ペースを上げるのが難しい状況でした。ペースアップできないわけではなかったのですが、タイヤを持たせるためにも無理はできませんでした。4台で集団になった時も、なんとか抑えきろうと思っていたのですが難しい状況でした。富士までにもう一度ミーティングを重ねて、次戦は巻き返したいと思います」
#3 GT-Rドライバー 佐々木大樹
「前を走るポルシェより、自分の方がペースが速かったので、バックストレートエンドで抜きに行こうと思っていたのですが、ブレーキングで止まりきれずに相手に接触してしまいました。速さというよりも、相手との駆け引きだとかを考えて、もっとレースをうまく走れるように勉強して、次戦で同じことを絶対に繰り返さないようにします」
NDDP RACING長谷見昌弘監督
「レースに向けて選択したタイヤが、コンディションとマッチせずにペースの苦しいレースになりました。佐々木の接触に関しては、経験不足が出ました。シリーズチャンピオンを狙うには、こうしたことが課題ですね」
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