SUPER GTのスポーティング規則により、獲得ポイントの2倍のウエイトハンディキャップを課せられる最後のレースである第6戦富士250kmレースは、シリーズポイント上位のGT-R勢にとって今年一番厳しいレースであった。予選結果はウエイトなりに下位であったが、良く挽回しGT-R勢は上位でレースを終えた。 その結果、46号車(S Road MOLA GT-R)は8ポイントリードしてのシリーズポイントトップ、12号車(カルソニック IMPUL GT-R)が3位、23号車(MOTUL AUTECH GT-R)が5位となり、チャンピオンシップ争いは2位、4位の1号車、17号車のHSV勢との戦いに絞られてきた。因みに、次戦はハンディウエイトが半分となり最終戦はハンディゼロで開幕戦と同じ条件で戦うことになる。

 今回特筆すべきは、予選13位から表彰台の2位まで追い上げた12号車である。500kmレースならまだしも250kmレースでの11台抜きはおそらく新記録である。
 チームスタッフによって、エンジンやシャシー、サスペンション、タイヤ、ピットワーク、戦略などが100%機能する舞台がしつらえられ、その舞台で二人のドライバーが思う存分実力を発揮し、舞い踊った。
 J. P. デ・オリベイラは、時に100Rをアウトから豪快にまたダンロップコーナーではインからズバッと抜きながら、序盤の混戦から巧みに抜け出し、第1スティントで4位まで駆け上がった。引き継いだ松田次生は、塚越広大が乗り速さに勝る17号車と戦うという第1戦岡山250kmレースと全く同じ状況におかれた。岡山で松田の老獪なテクニックに翻弄されてしまった塚越は、今回何とかリベンジするべく果敢にアタックを仕掛けた。対抗する松田も持てる引き出しを精一杯使って防戦し、まさに意地と意地の張り合いである。直線の速い17号車はストレートエンドで並びかけるが、12号車はGT-Rの優れたブレーキで1コーナーには先に飛び込む、またサイドバイサイドでチン、チンとお互いに軽く接触する、抜かれたらクロスラインで抜き返すなどの戦いが延々十数周続いた。こういう寸止めの戦いはどちらかが集中力を欠いた瞬間にスピンやコースアウトなどにつながるが、両ドライバー共に最後までフェアなバトルを続け、12号車が2位、17号車が3位でゴールを迎えた。

 今回は11台をごぼう抜きした12号車のスタッフと星野監督、オリベイラ、松田両ドライバーに☆三つ。そして異例であるが、松田とのフェアなバトルで観客に大きな感動とレースの醍醐味を提供した塚越にも☆三つ(余計なお世話?)

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