Vol.1  2011.5.2

1ヶ月遅れた開幕は、私たちにとっても思い入れのあるレースになりました。「ここ(富士)で勝ったチームには、きっとやきもちを妬いちゃう」と富士に向かう車の中で鈴木監督に言うと、監督は「自分たちがやきもちを妬いてもらう立場になろう」と言いました。そのときは「そうなれたら、いいな」くらいの気持ちで、正直、自信はありませんでした。

このレースウィーク、練習走行時や予選のラップタイムだけを見ても、他車に負けている部分はありました。しかし、それだけがNISMOチームの負の部分ではありませんでした。実は、このレースウィーク、私たちが誇っているチームの総合力という部分において、してはいけないミスが何度か重なり、ドライバーにもストレスを感じさせてしまっていました。おそらく、久しぶりのレースだったのと、そこから来る自信のなさが、チームのどこかにあったからこそ、それらのミスは起きてしまったのだと思います。

しかし、全てをリセットし、もう一度自分たちの仕事を一から見直し、レースに臨もうと、レース前のミーティングで吉田エンジニアがみんなに言いました。決勝日はファンの皆さんが観戦するには悪天候でしたが、グリッド6番手からスタートをする私たちにとってはチャンスでした。こういう悪天候だからこそ、ドライバーの技術、エンジニアの作戦、メカニックの機敏なピットワークが活かせるはずなので、NISMOらしさを100%出すことができれば、勝てる。そう心から思えたのは、実はレース直前でした。