FIA GT1とは
フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)、世界ラリー選手権(WRC)、世界ツーリングカー選手権(WTCC)に続く、第4の世界選手権が、FIA(世界自動車連盟)公認のFIA GT1世界選手権(以下、FIA GT1)だ。市販車ベースの2ドア車両で行うことに変わりはないが、2010年シーズンから技術規則・競技規則ともに大幅にリニューアル。開発コストの抑制を目的に、改造範囲が大きく制限されることになった。そのため、ベース車両が持つ素のポテンシャルが、レース車両が発揮するパフォーマンスを左右することになる。
日産はR35型GT-Rをベースに専用車両を仕立て、FIA GT1に挑戦する。ワークス参戦は認められていないため、NISMOは車両開発及び技術支援に徹し、SUMO POWER GT(イギリス)と、SWISS RACING TEAM(スイス)の2チームに計4台を販売。競合相手は、マセラティMC12、フォードGT、アストン・マーティンDB9、シボレー・コルベットZ06、ランボルギーニ・ムルシエラゴ670 R-SVの5車種計20台。各車の性能を合わせる為、FIA は各車の走行データを分析して、車両重量とエアリストリクターサイズの調整を行っている。またレースの結果によるサクセスバラストも導入されている。
2010年シーズンは中東のアブダビで開幕し、ヨーロッパ、アフリカ、南米に向かい、4大陸で計10戦が開催される。各イベントでは、1台の車両を2名のドライバーがドライブする決まり。予選は3セッションに渡るノックアウト方式で、2名のドライバーがセッションごとに交替してタイムを刻む。 レースは2回。それぞれ1時間のタイムレースで、予選セッション後に予選レースを行い、その結果によって翌日に行われるチャンピオンシップレースのスターティンググリッドが決められる。各レースでは、ドライバー交代とタイヤ交換が義務づけられている。
2009年にテスト参戦し、2010年から本格参戦するNISSAN GT-Rは、イギリス・シルバーストンで行われた第2戦のチャンピオンシップレースで、早くもFIA GT1初優勝を遂げた。速さの秘密はどこに隠されているのか。ベース車両との対比を中心に、メカニズムの概要を紹介していこう。
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